死語:こんにちでは使われなくなった言い回し
TOPページ
死語
関連レトリック
死語
死語
しご
obsolete word,disused word
みのり(みのりん)「あれ!? うそ!!
何!?」
大河「どうしたの みのりん」
みのり「どしたのじゃないよ!!
そっか——
しらなかったな——…
まさか
大河と高須君がねぇ——!!
ツーショット
登校
きめちゃうような
仲だったとは!!」
高須「なっ!?」
大河「違うでしょ みのりん
今時
ツーショット
とか
言わないよ」
みのり「そっか〜
あれか 今時は…ん?
ええと…あえ?
アベック
!!?」
高須「違ぇッ!!!
そこじぇねぇ!!!
一緒に登校してねえ!!
たあたまそこで会った!?
みたいな!?」
-『とらドラ!』1巻95ページ([原作]竹宮ゆゆこ・[作画]絶叫/アスキー・メディアワークス 電撃コミックス)
死語
は、過去には誰もが知っていたにもかかわらず、こんにちでは使われなくなってしまった単語や言いまわしのことをいいます。
「死語」によって心によみがえってくる昔のイメージを、懐かしむ
「死語」を耳にすると、昔の記憶がよみがえってきます。そして、そのことによって昔の懐かしさを感じることができます。
:懐かしい、偲ぶ、懐かしむ、懐かしがる、懐旧、懐古
その時代を特徴づけ、雄弁に物語る
「死語」の多くは、かつて「流行語」だったものです。そのため「死語」は、使われていた時代の世相を映しだしているということができます。
:世相、ありよう、風俗、風習、習わし、旧習、旧慣
昔は使われていたはずなのに、今ではほとんど使われなくなった語を用いる
かつては、ごくふつうに使われていた。だけれども、現在では姿を消してしまった語。それを用いるのが「死語」です。
:昔、過去、昔日、往年、往時、往古、ひと昔、当時、かつて、すたれる、おとろえる
とくに流行語のような、短期的に使われたものが「死語」になりやすい
昔のある時点で、流行したような言葉。そういった言葉がすたれた結果、「死語」になるという例を、とくに多く見いだすことができます。
:時代おくれ、旧式、陳腐
古くさい
「死語」は、昔の一時代にだけ使われていた単語です。そのため、その単語を現代で使うと、とても古くさい印象を受けることになります。また、その結果、失笑を買うこともあります。
:古くさい、古めかしい、古色蒼然、失笑、冷笑
年配者が使う
別に、年配であることには何らの否もありません。ただ、ふだん若々しい振る舞いをしている人が、この「死語」を使うのは危険です。使った「死語」に応じて、年齢の見当を付けられかねません。
:年配、中年
引用は、『とらドラ!』1巻からです。
主人公は高須竜児(たかすりゅうじ)。そして、大河は隆児のクラスメイト。
ある日のこと。
隆児のカバンに、手違いからある物を間違って入れられてしまう。それは、大河が別の日に送ろうとしていた、あて先違いのラブレター。そして間違いに気づいた大河は、隆児の家に乗り込んできて、ラブレターを奪い返そうとする。
しかし隆児は、そんな大河の想いを手助けしたいと考えるようになる。また、実は隆児と大河は、隣の家に住んでいるということが判明する。そんなことから、隆児と大河は、隆児が作った朝ごはんを一緒に食べるような仲になる。
そんな朝ごはんの後で、登校となる。と、自然と2人で登校することになる。
そんな2人の登校の様子を見かけたのが、「みのり」こと「みのりん」。彼女は大河の親友。
だけれども、「みのりん」のリアクションはちょっとおかしい。だって、
ツーショット
アベック
といった単語を使っているから。
この2つの単語は、現代でのふつうの会話には登場しないはず。なのに話の中に登場してしまっているので、「死語」だといえるわけです。
「死語」の分類
「死語」の分類については、いろいろな方法が見受けられます。
そこでここでは、『〈最新版〉女子大生が大好きな死語事典』(加藤主税[編著]/中部日本教育文化会)による分類を、あげておくことにします。なお、このサイトには書かれているのは、分類の概略だけです。なので、より詳しいことについては、そちらの本をご参照下さい。
完全消滅型
言葉が指し示す意味となるはずの物が、時代とともになくなってしまう。そのことによって忘れられてしまった言葉のことです。
例えば、
勘当
洗濯板
国鉄
といったものが、あげられています。
敗北型
全く同じ意味を表す言葉が、2つ以上ある場合。ふつう、古い方が死語になります。またカタカナ語がある場合には、そのカタカナ語が残ります。そういったことによって使われなくなったものが、このタイプです。
例えば、
後退燈(バックランプがふつう)
素描(スケッチがふつう)
携帯電話(ケータイがふつう)
あたりが、こちらに当てはまります。
決戦最中型
これは、現在競争中で、まだ勝負がついていない言葉をいいます。
例えば、
「キー」と「鍵」
「靴下」と「ソックス」
が、これに該当します。
一発花火型
この類は、爆発的に一世を風靡した流行語やギャグのことです。一発ドカンと打ち上げられる。そして一瞬のうちに死語になるものです。
こちらの例にあたるものとしては、
アアイエバジョウユウ(ああ言えば上祐)
だっちゅーの
アツゾコ
などが挙げられています。
完全シカトされ型
ここに入るのは、「あまりにも一般的になってしまって、目立たなくなった。そのことによって、しいて表現する必要のなくなったもの」をいいます。
例としては、
カギっ子(共稼ぎが珍しくなくなった)
電気冷蔵庫(電気を使わない冷蔵庫はなくなった)
総天然色(テレビはカラーテレビに決まっているので)
といったものがあります。
ほそぼそ長生型
これは、「死語になりそうだった言葉が、奇跡的に生き残っているもの」です。
この型に属するものとしては、
首飾り(花の首飾りとか民芸品のもの以外は、ネックレスがふつう)
耳飾り(耳に飾るものなので、イヤリングとは少しちがう)
といったものがあります。
孤独死型
これは、「新しい」ことを意味する流行語も持っている特質によるものです。「新しい」ことを表す流行語は、その語自体が新しくなくてはなりません。使っているとつすぐ、新鮮さがなくなって、古くなってしまうのです。そのため、続々と「新しい」ことを意味する「死語」が生まれていくことになるのです。
ハイカラ
モダン
ナウい
おニュー
といった言葉は、いずれも「新しい」を意味する「死語」です。
ご都合主義型
このグループは、「本来死ぬべきものが、単なる都合により、特殊な環境でのみ生きのこっている語」です。例として野球用語を挙げると、
投手(ピッチャーのほうが普通)
捕手(キャッチャーのほうが普通)
一塁手(ファーストのほうが普通)
といったものになります。いずれも新聞や雑誌では、文字数の関係から現在でも使われています。
隠喩表現
これは、上で書いてきた8つのカテゴリの、いずれにも当てはまらないものです。「どこにも入らない」ということなので、いまだ十分に整理ができていないものの集まりだと言えます。
この例としては、
どんびゃくしょう
ノミュニケーション
村八分
といったものがあります。
差別用語
さいごのこちらは、差別用語の「死語」です。これは、差別用語であるがゆえの事情によります。つまり、世間に広まってメジャーになると、すぐにフタをされて「死語」とされる。そのようにして使われなった差別用語が、重なってつくりあげられることになるのです。
これの例については、書くのは差し控えます。差別用語でもあるので。
「アベック」と「ツーショット」の意味
あらたまって書くというほどのことでは、ないのですが。例文に出てきた「アベック」と「ツーショット」の意味を簡単に書いておきます。
「アベック」
「アベック」というのは、フランス語の[abec]を取りいれた言葉です。この[abec]は、英語でいう[with]にあたります。
これを日本では、「恋人同士が、男女で一緒に」という意味で使ったというわけです。現代語で無難な言いかえをすれば、「カップル」とか「ペア」というのが近いでしょう(「カップル」という言いまわし、死語だという人もいる)。
「ツーショット」
「ツーショット」は、もともとカメラワークの用語です。これは、カメラで2人をとらえた絵柄を移すことを意味していました。
これを、流行語として広めたのは、『ねるとん紅鯨団(べにくじらだん)』です。この番組で、フリータイムの時に男女2人きりになっている様子を「ツーショット」と呼んだことから、この語が広まりました。そして以後、写真週刊誌などで、恋愛中のアイドルと盗撮した写真が「ツーショット」と呼ばれるようになりました。
ただし、この「ツーショット」は、すたれるのも早かったようです。
死語
廃語
※言語学で「死語」という語は、必ずしも本サイトで言う「死語」を意味しません。ですので。その関係をハッキリさせるために、「死語」ではなく「廃語」という言い方をします。これについては、すぐ下の項目(この用語がレトリック以外で使われるとき)をご参照下さい。
言語学における「死語」
言語学において「死語」という術語は、異なるものを指していることが多くあります。それは、「過去、この言語を話している人々がいた。けれども、現在では誰も使わなくなってしまった」。そういった言語を指して用いることが多いです。
たとえば、ラテン語。
ラテン語の文字での記録は残されています。ですが、現在での使い手はいません。このようなものが、この意味での「死語」にあたります。
『〈最新版〉女子大生が大好きな死語事典』(加藤主税[編著]/中部日本教育文化会)
「死語」をジャンル別にならべるだけの本は、よくあります。ですが、系統立てた説明を試みている本として、た解説しようとしている本は少ないので、参考になると思います。
関連するページ
古語法
:古く使われていた言葉
ランダムにページ選択:
サイト全部のトップ