音数律:和歌や俳句で使う「7音」「5音」のリズム
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音数律
関連レトリック
音数律
音数律
おんすうりつ
(a poem with five-seven syllables)
ひとつ積んでは
父のため
ふたつ積んでは
母のため
みっつ積んでは
ふるさとの
兄弟 我が身と
回向する
あの世のハテで
この声が
聞こえたならば
立ち上がれ
この数珠の音
聞こえたなら
たぐり来い
-『シャーマンキング』2巻157~158ページ(武井宏之/集英社 ジャンプ・コミックス)
音数律
は、音節の数によってリズム感を出すというレトリックです。日本語の場合には、「5音」か「7音」を使うことで、この「音数律」を作りだすことができます。
日本語の「口調」に合った表現になる
日本語で「韻文」をつくるときには、この「音数律」のほうがピッタリします。つまり日本語では、「音数律」を使ったほうが、「語呂」とか「口調」に合った表現になります。
:語呂、調子、口調、音調
なだらかな「韻文」になる
「音数律」は、なだらかに流れにのったものになります。これは、決まったとおりの間隔ごとにリズムを作りあげる「韻文」とh対称的です。
アクセントとは関係のない「韻文」となる
「頭韻」や「脚韻」のばあい。(強い)アクセントがどこにあるかが重要なポイントになります。つまり「韻文」のルールに従ったものといえるかどうかというのが、「アクセント」の位置によって決まるものなのです。けれども、「音数律」のばあいには、そういったアクセントとは関係がありません。音の数でもって、「韻文」を作りあげることになります。
「拍(音節)」の数を、5音か7音にする
「拍(音節)」の数というのは、「ひらがな」「カタカナ」で書いたばあいに使われる「文字の数」です。まあ、これは「とりあえず」の説明です。つまりホントは、少し違うものです。なのですが、とりあえず「ひらがな」「カタカナ」で書くと「5音」「7音」にすることができます。
「字余り」とか「字足らず」とかについて
日本の「音数律」は、音節(拍)の数が大きな分かれ道になります。つまり、「5音」か「7音」になているかどうかということが、重大なポイントになるわけです。ですが、「字あまり」のばあい「5音」が「6音」になったりします。また、「5音」のところを「4音」にしたりすると、「字足らず」となります。このような「字あまり」や「字足らず」は、ふつうは「避けたほうがいい」といえます。
:字あまり、字足らず
一本調子な使いすぎは避ける
文章を書いているとき、つまり「散文」を書いているときであっても、この「音数律」が出てくることがあります。ですが、その「音数律」が持っているリズム感を強く出しすぎてしまうと、困った文章になってしまいます。たしかに、音楽には乗っているかもしれない。けれども、実際のところ、本人が伝えたかった文の中身まで目が届かない。そういった文章を作ってしむおそれがあります。
:単調、単純、平板、一本調子
引用は『シャーマンキング』2巻から。
シーンは、「イタコのアンナ」が霊媒をするために、呪文(クチヨセ)をとなえている場面。
パッと見ただけでは、分かりにくいかも知れません。ですが、引用したものを声に出して読んでみると、音の数に規則性があることに気がつくはずです。つまり、「五・七・五・七…」と、「五・七」の音がくり返されているのがわかります。
呪文の最後が「七音」なら、「長歌」に分類できそうです。しかし、引用したものは最後が「五音」になっています。ですので、これを「長歌」とするのには、ためらいました。
まあそういったわけで。
「長期」とは別に、「音数律」という項目を作ってみることにしました。
「音数律」の周りにあるレトリック
「音韻律」の近くにあるレトリックとしては、つぎのようなものがあります。
そして。
上の表で「音数律」に含まれるとされているもの。つまり「下位区分」を、細かく見てみる。すると、この「音数律」は次のように細かく分類することができます。
短歌:「五・七・五・七・七」の音で作られる歌
俳句:「五・七・五」の音で作られる歌(その1)
川柳
:「五・七・五」の音で作られる歌(その2)
長歌
:「五・七・五・七…」と「五・七」の音がつづいて、最後を「五・七・七」で終わらせる歌
旋頭歌:「五・七・七・五・七・七」の音で作られる歌
仏足石歌:「五・七・五・七・七・七」の音で作られる歌
連歌:「五・七・五」と「七・七」とを交互に複数の人がつなげて作られる歌
…マンガの中で見かけることが、ありえないと思われるものもあります。ですがいちおう、上のように分類できます。
たとえば、詩を作るとき。このばあいには、「音の数」がリズムを出すのに大事なものになってきます。ここでいう詩というのは、おもに「短歌」とか「俳句」とか「川柳」といった、日本に昔からあるものです。
まあ、うちのATOK。
「仏足石歌」を書きこむために「ぶっそくせきか」とタイプしでも、変換されませんでした。そのくらい、マイナーだということです。
日本語では、よく「音数律」が使われている理由
日本語では、なんで「音数律」が、よく使われるのか。
言いかえれば。
日本語では、音の数によってリズム感を出そうとするのが一般的です。これは、おおまかにいって「ひらがな」や「カタカナ」にしたあとに、その「文字」の数を1つ1つ読んでいく。そうやって、リズムを作り出すのが基本的です。でも、なんで「音数律」が好きなのでしょうか。
と書いてきたのですが、残念ながら。
えらい学者さんたちの間でも、この問題について結論は出ていません。たしかに、がリズミカルなのは誰もが感じることのはずです。それなのに、なんでそんなふうにリズミカルなのかについては、よくわかっていないのが実情です。
でも。世の中で、「音数律」というものあるということについては、疑いなく広く知られている事実です。
まあ、いちおうの理由を書くと。
日本語では、このような方法がなじみやすいワケ。それは、ほとんどの「ひらがな」「カタカナ」の1文字が、「子音+母音」という発音を示しているからだ、と。
つまり。
たとえば、「子音1つ」+「母音1つ」で1つのカタマリ(音節)をつくることができるので、数えやすい。つまり、リズムとして乗りやすい。
いちおう。
こんなふうに、理由らしいことが説明されることもあります。ですが、みんなの意見が同じになるというほどでもないみたいです。
なお、例外として。
「ア行」の音(=あ・い・う・え・お)については、子音がなくて母音だけで発音されます。そのため、このア行については「母音だけ」で1つの音になります。
ではなぜ、日本語では「5音」や「7音」でないといけないのか
そして、いちばんのナゾ。
それは、なぜ「5音」とか「7音」とかいったものがリズムカルになるのかということです。
上で書いたように。たしかに日本語でリズムをとろうとするときには、(その理由はともかく)「音数律」を基準とします。
そして、その「音数律」をつくるとき。そのときには、「5音」か「7音」によってリズムを導き出すのがふつうです。
そのため、「音数律」では「5音」とか「7音」といったものが、大切になってきます
そう、たしかに。
「音(音節)の数」を使って詩や歌を作ろうとしたときに、なんで「5音」とか「7音」とかが選ばるのが典型的です。ですが、なんでまた「5音」とか「7音」れるのか。そのことが問題となってきます。
反対の言いかたをすれば。
べつに、「6音」だって「4音」だって、リズミカルに感じたっていいはずです。それなのに、なんでまた「5音」「7音」のほうが基本のかたちとなったのでしょうか。反対に、どうして「6音」とか「4音」とかは、「字足らず」「字あまり」といって嫌われてしまうのでしょうか。
その理由は。
…不明です。分かりません。
これは、べつに。私(サイト作成者)の知識が足らないために、といったことが理由で「分からない」と書いているわけではありません。そうじゃなくって、えらい国語学者とかであっても、やっぱりナゾなのです。
このナゾを解決するために、まず。
ヨーロッパを中心とした、「インド=ヨーロッパ語族」と呼ばれている言語で使わている「韻文」を見てみます。すると、西洋の「韻文」は、ふつう「音韻律」というかたちをとっていることが分かります。この「音韻律」というのは、「
頭韻
」や「
脚韻
」のような「
押韻
」によって、リズム感を出すものです。
西洋の言葉では、この「音韻律」ほうがメインになります。ヨーロッパの「韻文」は、ほとんどが「音韻律」に含まれる「頭韻」や「脚韻」なのです。
したがって。
この「ヨーロッパの言語から推測する」ことは、残念ながらムリです。
結局。
ナゼ、「5音」と「7音」が多く使われるのか。その疑問にたいしては、
よくわからない
というほかありません。
だいたい、「5」と「7」なんて「素数(そすう)」だし。だから、その2つの数字に共通のものを見つけることはムリです。
「5音」と「7音」が自然だという、その理由
この「音数律」について書かれたレトリック関係の本で、いちばん興味深かったもの。
それは、『日本語のリズム-四拍子文化論-(ちくま学芸文庫へ4-3)』(別宮貞徳/筑摩書房)という本をです。
この本が書いていることをひとことで言うと、
七五調は四拍子である
という、かなり斬新なもの。
しっかりと読めば、
音の「調子」が七五調であっても、その「拍子」は四拍からできている
といったことが書かれているので、奇妙な説でないことは確かなんだけれども。
理解しやすくなるのかは、よくわかりません。ですが、すこし説明をプラスして書いておくと。
5音 → |♪♪♪♪|♪―――| (短)
7音 → |♪♪♪♪|♪♪♪―| (長)
ということになります。なお「♪記号」については、このサイトで手を加えたものです。この著者は「「短短長」とかいう説明をしているため、分かりにくいものになっています。なので、このサイトでは、すこしプラスしておきました。
それはそうと。、つまり。
「5音」の後には、休符が「3つ」。「7音」の後には、休符が「1つ」で。なので、両方とも全体で「8拍」なる。といったことだと思います。
ここで、とくに考えておかなければならないもの。それは、
「4分の4拍子」が音楽にとって、いちばん基本のかたちだ
ということです。
音数律
『レトリック-日本人の表現-』(寿岳章子/共文社)
この本では、よく日本語で使われる「レトリック」表現について解説がされています。また、もちろん「音数律」についても、おおくのページを使って説明してあります。なのですが残念なのは、40年くらい前に発売された本だということです。なので、手に入れにくいのはたしかです。
『文章の技-書きたい人への77のヒント-』(中村明/筑摩書房)
「音数律」という、「5音」や「7音」を多く使うレトリック。このレトリックが、どのくらい小説というジャンルで使われているか。そういった、「散文」のほうに視点をすえた本として紹介しておきます。
「音」という単語が乱れ飛ぶ
このサイトでは、なるべく「難しいことば」で説明しないようする。と、そう心がけているつみもりです。
でも、その結果。
このページのように。「音」という単語が乱れ飛ぶという、そんな結果を露呈しています。
まあ、8割くらいは「音節」の意味。1割は「音素」のこと。あとの1割は、その他いろいろ。
言語学あたりに強い人は。てきとうにアタマの中で翻訳しながら読んでください。また、このサイトを見ている、ごく一般的なかたは、あまり深く追究しないでください。
関連するページ
韻文
:韻を使った文。音韻律と音数律に分かれる。
そのた
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:
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