換言:一度伝えたことばを言い直し、より適切にする
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関連レトリック換言

換言 かんげん epanorthosis

『学園戦記ムリョウ』2巻81ページ(佐藤竜雄・滝沢ひろゆき・マッドハウス・学園戦記ムリョウ製作委員会/日本放送出版協会 NHK出版コミックス)
  • ウエンヌル「アノゴ婦人ハ?」
  • ジルトーシュ「フッ」「あの人は
  • 銀河連邦安全保障委員会の
  • 太陽系方面観察者!!
  • 平たく言えば
  • このあたりの星の保安官だね!!」
-『学園戦記ムリョウ』2巻81ページ(佐藤竜雄・滝沢ひろゆき・マッドハウス・学園戦記ムリョウ製作委員会/日本放送出版協会 NHK出版コミックス)
  • 定義重要度3
  • 換言は、一度伝えたことばを、言いなおすレトリックです。つまり、ある話をした直後に、もっとよい言葉で言いあらためるものです。

  • 効果

  • 効果1前よりも、もっと適切な文章をつくることができる

  • より適切な文を作りたい。そのときに前に書いた文を直して、ピッタリしたものにすることができます。
  • キーワード:適切、良い、適当、ぴったり、適合、合う、添う、当てはまる、当てはめる、適応、そぐう、修正、直す、言いなおす、是正、改める

  • 効果2言いかたを変えることで、強調することができる

  • 一度伝えたことを、さらに違う言いかたでくり返す。これは同じような意味のことばをくり返しているので、強調することになります。
  • キーワード:強調、強い、強まる、強める、強化、増強

  • 効果3緊張した言いまわしを和らげる

  • 緊張感の言いまわしを、「換言」を使って避ける。そのことで、雰囲気を和らげることができます。
  • キーワード:和らげる、緩む、緩める、緩まる、緩和、クッション、ほぐれる、ほぐす、和らぐ、親しむ

  • 効果4角度を変えて言いなおすことで、理解をうながす

  • 「換言」を使って、ことばのメッセージを少し変える。表現を変える。このことで、相手方に、これまで以上に理解をしてもらうことができます。
  • キーワード:理解、分かる、知る、察する、察し、通じる、承知、了承、首肯、合点、得心
  • 使い方
  • 使い方1より適切な言葉があったときに、前文を言い換える

  • 最初に出てきた言葉を、それと同じことがらを意味する他の言葉に変えて、もう一度言い足すものです。別に言い方をすれば、視点をかえて言葉をかえるものです。
  • キーワード:言いかえ、換言、言いなおす、別言
  • 使い方2「つまり」とか「要するに」といったことばを加える

  • 「換言」をするばあいには、言いかえのために、「つまり」とか「要するに」とかいったことばが使われます。
  • 例文を見る)
  • 引用は『学園戦記ムリョウ』2巻から。

    主人公は、…誰なのかな?
    「村田始」の視点でストーリーが進行しているようにも思える。けれども、活躍しているのは「ムリョウ」のほうだと思う。そもそも、タイトルが『学園戦記ムリョウ』って、「ムリョウ」の名前が入っている。主人公は誰なのか分からないので、「?」としておきます。

    で、作品舞台とストーリーを簡単に書くと。
    時は2070年。東京臨海副都心に、突如として宇宙人が出現。けれどもこの宇宙人は、これまた突然に登場した謎の巨人に倒される。

    そんな中で、1人の転校生がやってくる。名前は「統原無量」と書いて「スバル・ムリョウ」と読む。さっき上に書いた「ムリョウ」が、「村田始」のクラスにやってきた。

    実は、この作品では、いたるところに宇宙人が住んでいることになっている。引用した画像でアロハシャツを着ている「ジルトーシュ」も、そんなうちの1人。彼らは、地球人のすがたをして、いろんなことをしているらしい。

    いちおう、そんなことを理解すると、引用したシーンがどういう場面で話されているのかがわかると思います。

    ですが、このページで説明している「換語」と、そういった場面とは、あまり関係がなかったりする。

    あの人は銀河連邦
    安全保障委員会の
    太陽系方面観察者!!

    と言ったあとで、
    平たく言えば

    と前置きをしてから、
    このあたりの星の
    保安官だね!!

    と言っている。つまり、「平たく言えば」という言葉を置くことによって、もう一度同じことを言いなおしているわけです。なので、「換語」ということになります。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「換語」と「訂正法」との違い
  • うちのサイトで、「換言」という名前であつかっているレトリック。このレトリックをどのように呼ぶかについては、わりと人によってバラバラです。

    とくに「訂正法」を、「換言」とはべつのレトリックとして考えるとき。そのネーミングが、ひとつに定まらないのです。

    ためしに。
    いま手元にある資料から、書きならべてみます。(ここでの《訂正法》は「correction」で、《換言》は「epanorthosis」の意味だとします)。
      (例)
    • 『書籍名』
    • 《訂正法》の呼びかた
    • 《換言》の呼びかた
    • 『レトリック認識』
    • 修辞的訂正
    • 訂正
    • 『レトリック事典』
    • 前言訂正
    • 訂正
    • 『日本語レトリックの体系』
    • 訂正
    • 換言
    • 『日本語の文体・レトリック辞典』
    • 訂正、修辞的訂正
    • 換言、修辞的換言
    • 『レトリック事典』
    • 前言訂正
    • 訂正
    • 『レトリック入門』
    • 訂正法
    • 訂正法
    • 『レトリック辞典』
    • 訂正法(思想訂正)
    • 訂正法(語句訂正)
    • 『レトリック入門』
    • 訂正法
    • 訂正法
    • 『日本語修辞辞典』
    • 訂正法(思想訂正)
    • 訂正法(字句訂正)
    • 『レトリックのすすめ』
    • 訂正法(思考の訂正)
    • 訂正法(字句の訂正)
    • 『レトリック小事典』
    • 自己訂正
    • 換語
    • 五十嵐力『新文章講話』
    • 換置法
    • 換置法
    • 『文学修辞学』
    • 訂正法
    • 訂正法

    学者によって用語がバラバラになっている理由は、よくわかりません。「訂正法」が、それほど重要なレトリックではないからかもしれません。または、次の項目に書いておいた《視点》の問題によるものなのかもしれません。いずれにせよ、バラバラです。

    ネーミングは、レトリックをとらえる上では大した問題ではないとも思われます。ですが、ときに用語の違いによって混乱してしまうこともありえます。ですので、いちおう注意をはらっておく必要があります。

    この「換語」と似たレトリックに「 訂正法」というものがあります。ですが、この「換語」と「 訂正法」との間には、大きな違いが1つあります。それは、「前の文を否定するかしないか」という違いです。

    「訂正法」は、前に言った言葉を取り消します。
    それに対して「換語」は、前に言った言葉を撤回するわけではなく、より適切な言葉に言いなおすものです。
    ここに違いがあります。

    ただし。
    レトリック用語として「換語」と「 訂正法」とを区別しないことも、多くあります。

    …と書いてきたのですが。
    「換語」と「 訂正法」との区別について、まったく反対のことを書いてあるのを見かけました。
    『レトリック事典』に従えば、。
    • correction - よりよい表現のための「言い換え」
    •  → 「換語」

    • epanorthosis - 考え方が変わったことによる「改め」
    •  → 「訂正法」

    という、あべこべの定義になっています。

    このことについての解決策は、まだ出ていません。考え中です。

  • 深く知る2《視点》の問題
  • 《視点》の問題については、「 訂正法」に書いておきました。「 訂正法」のページをご覧ください。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 換言・換言法
  • 呼び方4
  • 換語
  • 呼び方3
  • 換置法・訂正・訂正法※当サイトと分類の方法が違うばあい、「訂正」という用語が「換言」に当てはまることがあります。
  • 呼び方1
  • 修正法・修辞的換言・言い直し
  • 参考資料
  • ●『レトリック認識(講談社学術文庫 1043)』(佐藤信夫/講談社)
  • 佐藤信夫氏が「訂正」「換言」に触れている本としては、これをあげることができます。
  • ●『レトリックのすすめ』(野内良三/大修館書店)
  • 本のタイトルを見ただけでは、レトリックの入門書に見えるかもしれません。ですがこの本は、非常にくわしい解説が載っています。「訂正法」の項目に書かれていますが、「換言」にも多くの記述があります。
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