強調重複:ことばの意義の重なる修飾語を使うもの
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強調重複
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きょうちょうちょうふく
ploce
ふっ…
ふっふっふっふっふっ
ふっふっふっふっふ
呪ってやるぅぅぅぅぅぅっ
弟たちに手を出したら
呪ってやるぅぅぅぅぅぅぅ
血みどろの無惨な死に方
をするように
念をこめながら
夜な夜な五寸釘で
ワラ人形を打つわぁぁぁぁぁぁぁ
-『ぴょん』47ページ(彩花みん/集英社 りぼんマスコットコミックス)
強調重複
は、ことばの意義の重なる修飾語を使うレトリックです。つまり、あることばを形容するために、同じような意味のことばを修飾語として並べるレトリックです。
伝えたいことを強調する
「強調重複」はその名前のとおり、伝えたいことを強調する目的で用いられます。
:強調、強め、強まる、強める、強化、増強、盛り上げる
誤解を防止する
同じフレーズが何度も出てくるので、誤解の防止につながります。
:誤解(の防止)、トリチガエ(の防止)
時には、バカバカしい表現を生む
あえて「強調重複」を使うことで、時には滑稽な文を作り出すこともあります。
:滑稽、バカバカしい、バカらしい、ユーモラス、コミカル、笑い、笑わせる、ほくそえむ、にこつく、微笑、薄笑い
意味の重なりあう表現を、何度もつかう
一般的には、同じ言葉や似た言葉を重ねてつかうのは、あまり好ましいとはいえません。ですが、このような重複をワザと作ることによって、「強調重複」というレトリックを創り出すことができます。
例文は『ぴょん』から。
主人公は「ぴょん」。
この世界には、不思議な「おばけ」がいる。「足の速くなる専門のおばけ」に取りつかれると、脚が異常に早くなる。また、「手が速くなる専門のおばけ」にとりつかれると、手が異常に速くなる。
で。
主人公「ぴょん」の兄である「わん」が、「ケンカ専門のお化け」に取りつかれてしまう。そして、柄の悪そうな人にケンカをふっかけます。
そこを通りかかったのが、「ぴょん」と「わん」の姉。「弟をはなしてちょうだいっ」とお願いするが、聞き入れてもらえない。
そうしているうちに今度は、姉のほうに「ケンカのお化け」が取りついてしまう。上の画像は、「ケンカのお化け」に取り憑かれた姉が、柄の悪そうな人を脅迫しているシーンです。
今回の注目点は、
血みどろの無惨な死に方
という表現です。「血みどろ」と「無惨」というのは、意味としてはかなり共通しています。それにもかかわらず、連続して使われています。
「血みどろ」と言われたら「無惨」なものに決まっている。だから、あえて「無惨」という言葉まで使う必要はない。それなのに、ここでは「血みどろの無惨な」という表現になっている。この部分を「強調重複」としておきます。
まあ本当は、もうちょっと見るからに「強調重複」だといえる例があると思います。ですが、一応、この例文をあげておきます。
なお。
引用したシーンは「おどろおどろしい」ものになっています、ですが、『ぴょん』という作品自体は、彩花みん先生が『赤ずきんチャチャ』で見せたような、きわめて「ほのぼの」とした短編が収められているものです。
「強調重複」の、その他の例
この「強調重複」の例としては、
「一つ残らず何もかも全部」
のような表現があげられます。
「冗語法」などと「強調重複」との関係
この「強調重複」は「
冗語法
」のグループに含まれるレトリックです。このグループには、ほかに「
慣用重複
」や「
情化法
」があります。
くわしくは、「
冗語法
」をページを参照してください。
強調重複
プロシー
『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
この「強調重複」をていねいに説明してある点で、便利だといえます。
関連するページ
冗語法
:「冗語法」に関するまとめページ
慣用重複
:「不注意」を主とする「冗語法」
強調重複
:「強調」を主とする「冗語法」
そのた
●その他「冗語法」に分類されるもの
:
情化法
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