さかさ言葉:ことばを最後から発音すると意味が通じる
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さかさことば
back slang
リイ「も…もっとフツーの
ジョシコオセェに わかる儲け話ない?」
宮部「ちっ しょーがないなー」
「井沢さ住所は?」
リイコ「え? えーとね」
宮部「金は即日? 月末払い?」
宮部「ふむ 学校からの距離…
家からの通勤時間 考慮して…」
「ここか ベトナム料理店 『
ムナトベ
』」
リイコ 「ムナトベって
ベトナムを逆にした だけじゃんね」
-『絶対彼氏。』2巻108ページ(渡瀬悠宇/小学館 少コミフラワーコミックス)
さかさ言葉
は、ことばを最後から発音すると意味が通じる、というレトリックです。つまり、もとからある単語とか文章とかの読みかたを、さかさまにする。このことによって、そのようなレトリックです。
「さかさ言葉」で作られたことばは、悪いイメージを持つことが多い
「さかさ言葉」については、良くないイメージを持つことが多くあります。それは、「さかさ言葉」という単語の作りかたが、閉鎖的なイメージを帯びているからです。つまり「さかさ言葉」という単語のつくるかたからは、自分たちの集団以外の人に意図を知られることを嫌っている、ということが分かるのです。
:閉鎖、閉めきる、閉ざす、塞ぐ、ふさがる、集団、集まる、集まり、集う、群がる、群れる、群れ、グループ
語の逆さから読むと、ことばの意味が分かる
パッと見ただけでは良く分からない語句ができる。だけれども、その語句を終わりから読んでいくと、もとの意味がわかるようになる。これが「さかさ言葉」の基本です。
:終わりから、末、末尾、最後
引用は『絶対彼氏。』2巻から。
主人公は「リイコ」。
彼女は、怪しいセールスマンに出会う。そして、「欲しいものは?」と聞かれたときに、「彼氏!」と答える。
すると、等身大で人間そっくり、しかも美少年の「フィギュア」が送られてきた。
が。
その価格、なんと「一億円」。怪しいセールスマンと交渉して、ちょっとは安くしてもらった。でも、まだまだ女子高生の「リイコ」には、メチャクチャ高い値段。
なので、バイトを探すことにする。このときに「宮部さん」が、パソコンを使ってバイト先を探してくれているのが、引用のシーン。
だけど。そういった込みいった事情は、あまり「逆さ言葉」とは関係ない。
目標としたバイト先の、店の名前が「逆さ言葉」になっているので、引用しました。つまり、
ベトナム料理店
『
ムナトベ
』
って…。「リツコ」が言っているように、これはうしろのほうから読んで、「ベトナム」とすることによって、はじめて意味がわかる。
…あまり良い例とは思いませんが、とりあえずこれを例文としておきます。
「さかさ言葉」とほかのレトリックとの関係
「さかさ言葉」と「隠語」との関係
「さかさ言葉」は「隠語」を作るために使うテクニックとして、よく用いられます。
とくに「やくざ言葉」のような「隠語」のなかには、「さかさ言葉」を見つけることができます。
例えば「しょば代」ということば。これは、逆から読んで「場所代」とすることによって、その意味がわかるようになっています。他には、「ダフ屋」を逆から読んで「ふだ屋」などといったものが、「さかさ言葉」にあたります。
「さかさ言葉」と「新造語法」との関係
「さかさ言葉」は、新しいことばを作る方法の1つです。なので、「新造語法」とも強く関わりあいます。
ただしこの「逆さ言葉」は、日本語にはあまり多くはありません。
例をあげてみると、「ネタ」ということば。これは、逆から読んで「たね」とすることによって、はじめて意味がわかります。ですが、日常の生活では、ほかにはあまり例がを見つけることができません。
「逆さ言葉」と「回文」との違い
たまに「
回文
」のことを「逆さ言葉」と言うことがあるようです。
「
回文
」というのは、このサイトでは、前から読んでも後ろから読んでも同じになるものの用語として使っています。「竹やぶ焼けた」のようなもののことです。
このようなことから、「
回文
」と「逆さ言葉」との区別を確認しておきます。このサイトでは、
「
回文
」:前から読んでも後ろから読んでも同じになるもの
「逆さ言葉」:後ろから読むと意味がわかるもの
と分けておくことにします。
「逆さ言葉」と「スージャ語」との違い
たまに「スージャ語」のことを「逆さ言葉」と言うこともあるようです。
「スージャ語」というのは、このサイトでは、ことばの前半部分と後半部分とを取り換えることによって作るものの意味で使っています。
「スージャ語」の例としては、「トウシロー」があげられます。「シロウト」を、前半部分「シロ」と、後半部分「トウ」とに分けてシャッフルする。そうすると「トウシロー」になるわけです。
また、そもそも「スージャ語」ということばが、「ジャズ」の前半部分「ジャ」と、後半部分「ズ」とを入れかえることで作られています。
このようなことから、「ズージャ語」と「逆さ言葉」との区別を確認しておきます。このサイトでは、
「ズージャ語」:ことばの前半部分と後半部分とを取り換えること
「逆さ言葉」:後ろから順番に読むと意味がわかるもの
と分けておくことにします。
なお、「ズージャ語」という用語は、あまり一般的なものではありません。ですので、「逆さ言葉」ということばに、「ズージャ語」のようなものを含めているばあいもあります。
「逆さ言葉」と「逆再生」
現代の科学では、声を「逆再生」することができます。それも、お手軽に。
例えば。「マイク」と「スピーカ」、それに「パソコン」と適当な「音楽再生ソフト」を用意してください。そして、マイクから声を吹んでパソコンに記録します。つづいて、音楽再生ソフトを使ってその声を「逆再生」させます。成功していれば、スピーカから「意味不明」な声が流れてきます。
ですが。
この「逆再生」というのは、「逆さ言葉」とは関係ありません。[br]]どうしてかというと。
「逆さ言葉」は、あくまで「ひらがな」とか「カタカナ」とかにしたものを最後から読んでいます。けれども「逆再生」は、きちんと音自体を最後のほうから流しているのです。
じゃあ「逆再生」によって、声を最後から流すとどうなるか。それは、吹きこんだ声を「ローマ字」にしてみれば、だいたい見当がつきます。それはたしかに厳密なものではありません。ですが、おおまかな予想をつけることはできます。
たとえば吹きこんだ声が、
ベトナム
のばあい、ローマ字にすると、、
「betonamu」
となります。これを逆転させて最後のuから順に読んでいくと、
「umanoteb」
と変化します。このようなローマ字を、正確に読むことはできません。けれどもだいたい、
「ウマノテb」
というような音になるということが予想されます。最後の「b」がどのように聞こえるかは、ちょっと分かりませんけれども。
つまり、決して「逆さ言葉」のように、
「ムナトベ」
にはならないのです。「逆さ言葉」と「逆再生」とは、あくまでも違ったものです。
さかさ言葉
倒置※
倒言・倒語
さかさま言葉・さかさま読み・さかさ読み・倒語・倒句・・さかさことば・語順倒置
「倒置法」(hyperbaton)との区別
「倒置」という用語には2つの意味があります。ひとつは、このページで扱っている「さかさ言葉」という意味。もうひとつは、「
倒置法
」(hyperbaton)という意味。この2つは、違う様子を指しています。そのためこのページで解説しているのレトリック用語は、「さかさ言葉」という名前で扱っていくことにします。
『日本のことば遊び』(小林祥次郎/勉誠出版)
江戸時代の書物にあたりつつ、「倒語(=さかさ言葉)」を解説してあります。かなりくわしいと思います。
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新造語法
:新しいことばをつくるレトリックのまとめページ
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