例文は『監督不行届』から。
この表紙だけ見ても、十分に「諷刺」です。監督が、身の回りのことまでできないような、そんなオタクな人だ。その気持ちが『監督不行届』という言葉から裏に読みとれます。ですので、表紙から、十分に「諷刺」でしょう。
で、本の表紙を開くと、こんな言葉が書いてあります。※このマンガはフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません。
ん〜。このマンガは、漫画家の「安野モヨコ」と、映画・アニメ監督の「庵野秀明」とが結婚した話が書いてあるのではないか?
その新婚生活での「庵野秀明」のオタクっぷりが「諷刺」として書かれているのではないか?
そう思った方、それが正解です。この本を最後のほうまで読んでいくと、冒頭の「このマンガはフィクションであり、実在の人物・団体とは関係ありません」という文言は、軽いシャレとして入れてもらいました。
と書いてあります(141ページ)。
ですので、安心してご購読ください。
…ここまで書いて、ふと思った。ここまで書いてきたことは全て、「庵野秀明」と「安野モヨコ」との結婚を知っている人、というかそれ以前に、この2人を知っていることが前提となっている!
しかし、「庵野秀樹」と「安野モヨコ」とを知らないような、まるでオタク的ではない生活を送っている人は、この本を読まないでもかまいません。そのような人は、対象としている読者層ではありません。
なお、もちろん中身も「諷刺」です。
例えば結婚式では、お世話になった方々への同人誌を配る(8ページ)。ナゼ、同人誌を配るのかはナゾだけど、そのようなオタク的な行動が、この本にはいっぱい詰め込まれています。もちろん「ノロケ」ではなく「諷刺」として。
ただ。
こうやって「結婚式で同人誌を配った」と書くと、なんだかスゴい結婚式だったみたいに感じるかもしれません。
ですが、この結婚式に出席した、吉住渉さんが書くところによれば、それほど奇妙奇天烈な結婚式ではなかったようです。『ウルトラマニアック』(吉住渉/集英社りぼんマスコットコミックス)2巻に描かれてある、「フリートーク・スペシャル」のコーナーでは、次のように描写されています。- 同業の安野モヨコ嬢の
- 結婚パーティーの
- ビンゴで当たって—(中略)—。
- ちなみに新郎は
- 「エヴァンゲリオン」の
- 庵野監督
- とても素敵な
- カップルです♡
とのこと。やっぱり、この『監督不行届』というマンガは、「事実をありのままに描いて諷刺したもの」ではないようです。いや、事実を歪曲して誇張するところが、まさに「諷刺」なんですが。