漸層法(広義の):前にある言葉の内容を次第に大きくする
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漸層法(広義の)
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ぜんそうほう(こうぎの)
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漸層法(広義の)
は、いくつもの表現を並べるなかで、表現を強める(または弱める)レトリックの総称です。言いかえれば、前にある言葉のすぐあとに、さらにその内容を大きくするような(小さくするような)言葉を加えるものです。
主張しようと考えている持論を、伝えやすくなる
主張しようと考えている持論。その持論を、より強く訴えかけることができるようになります。
:主題、テーマ、主張、提唱、唱える、主義、信条、意見、考え、見かた、見解、了見、見識、諭す
一理あると思わせるようなフレーズをつくる
今まで以上に説得力のある話の流れを作ることで、一理あると思わせるようなフレーズをつくることができます。
:説得力、説く、訴えかける、知らせる、通じる、達する、もっともだ、道理、理屈にあっている、ロジック、一理ある
相手を鼓舞し、勢いづかせる
「漸層法」を使うことによって、相手を鼓舞し、躍動感あふれる表現を生みだすことができます。
:鼓舞、応援、力づける、引き立てる、躍動感、生き生き
相手側が持つ反感を、より少なくする
はじめから結論を言わない。あからさまにしない。このことで、受け手(聞き手・読み手)から反感が出るのをおさえることができます。
:好感、賛成、くみする、賛同、支持、同意
段々と強めたり反対に弱くなるように、ことばを並べる
しだいに盛り上げてピークをつくったりだとか、逆にしだいにトーンダウンして落ちていく感じにしたり表現をとります。つまり、ことばを連続させるなかで、力や大きさを徐々に変化させるものようにすることで、「漸層法(広義の)」を作ることができます。
:だんだんと、漸次、日に日に、しだいに、徐々に、盛り上げる、盛り上がる、高まる、高まり、強める、強まる、強化、高揚、発揚、奮う、奮起
使いかたによっては、支離滅裂になってしまうことがある
この「漸層法」は、受け手(聞き手・読み手)に負担がかかるものです。なので、使いかたによっては、支離滅裂になってしまうことがあります。
:支離滅裂、混然、混沌、ばらばら、ちぐはぐ、不統一
テーマを最後に語っているので、不利な面がある
説得したり、主張したりするとき。そのばあいには、さいしょに結論を述べるのが基本です。しかしながら「漸層法(広義の)」は、最後に結論を示すものです。そのため、全体としての印象が薄まってしまうこともあります。
:テーマ、本題、主題、セオリー、道理、理屈、理論
「漸層法(広義の)に含まれるレトリック
この「漸層法(広義の)」に含まれるものとして、
「
漸層法(狭義の)
」:ことばを、段階を追って強めていくもの(もっとも典型的な「漸層法」)
「
漸降法
」:ことばが、段階を追って弱まっていくもの
「連鎖漸層法」:ある文に現れた表現を、次の文の中で反復しながら強めていくもの
があげられます。ここにあげた「
漸層法(狭義の)
」と「
漸降法
」は、反対の関係にあることが分かります。
また、この「漸層法(広義の)」に近いレトリックとして、
「
飛移法
」:表現の方法だとか内容の調子を(段々とではなく)急激に変えるレトリック
「
頓降法
」:段々と盛り上がってきたものが、急に落ちるように展開するレトリック
があります。
くわしくは、それぞれの項目を参照して下さい。
「漸層法」と「列挙法」との関係
「
列挙法
」は、ひとつのものを色々な角度から描きだすものです。これに対して「漸層法」は、(だんだん強めたり、反対に弱めたりといった)ルールにしたがってことばを並べるものです。したがって「漸層法」は、順序立てた「
列挙法
」と見ることもできます。
「漸層法」と隣接するレトリック用語との関連
「漸層法(広義の)」に隣接する、
「
漸降法
」
「反漸層法」
「
頓降法
」
という日本語でのレトリック用語。そして、それに対しての、、
《bathos》
《anticlimax》
という英語でのレトリック用語。
この用語をどのように区別するかについては、統一されていないように思われます。そもそも、日本語のほうには3つの用語があるのに、英語のほうには2つしか用語がない。そういったことからみても、まだ一致された考えかたがない、ということを物語っています。
この点についてこのサイトでは、次のように区別することにします。
「
頓降法
」(=bathos)は、ことばが段々と盛り上がっていったあとに、最後で急にストンと落とすというレトリック。
「
漸降法
」(=anticlimax)、は、ことばが段々と弱まっていくというレトリック。
そして、あまってしまった「反漸層法」については、「
漸降法
」の別の呼び方だということにします。
ただしこの区分は、あくまで1つの考えかたです。他の人が書いた本だとか、他の人が作ったサイトでは、違った説明がされている場合があります。
ですので、その解説をしている人が、どのような区別をしてレトリック用語を使い分けているか。そこのところを、よく見きわめて下さい。
漸層法・漸層
クライマックス・クライマックス法
「クライマックス(漸層法)」ということばの、日常での使われかた
映画やドラマを見たり、小説を読んだりしているとき。そういった状況で「クライマックス(=漸層法)」といったばあいには、話の最高潮の部分を指します。最も盛り上がったところ、つまり頂上のところを指します。
ですが、レトリック用語での「クライマックス(=漸層法)」は、ちょっと意味が違います。だんだん頂上へと盛りあがっていく、その流れを「クライマックス(=漸層法)」といいます。
これは、「クライマックス(=漸層法)」の語源を知ることで、納得できるかと思います。
「クライマックス(=漸層法)」に付いているclimaxという英語の語源は、「はしご」という意味のギリシャ語です。つまり、はしごを登り降りするようすと、このレトリックの使われかたがよく似ているというわけです。
ですが、「クライマックス」ということばが日ごろ使われていく。その中で、レトリック用語から意味がだんだんと離れていって、最高潮の部分をさすようになっていったのです。
『日本語のレトリックー文章表現の技法ー(岩波ジュニア新書 418)』(瀬戸賢一/岩波書店)
この本は、オモテ向きとしては子供向けです(「ジュニア新書」だから)。ですが、あまり甘く見てはいけません。レトリック用語によっては、かなりくわしく書いてあることもあります。
『レトリック辞典』(野内良三/国書刊行会)
同じ著者の書いた、『レトリック入門-修辞と論証-』(野内良三/世界思想社)や『日本語修辞辞典』(野内良三/国書刊行会)もにも、くわしい説明があります。
関連するページ
漸層法(狭義の)
:ことばを、段階を追って強めていくもの(もっとも典型的な「漸層法」)
漸降法
:ことばが、段階を追って弱まっていくもの
そのた
●同じような意味のことばを並べるもの
:
列叙法
-
多種列挙
●並べかたが途中で変わるもの
:
連鎖漸層法
-
頓降法
-
飛移法
-
頓旋法
-
転折法
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