復言:同じ言葉が別の句でくり返される
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復言 ふくげん dilogy

『最遊記』5巻163ページ(峰倉かずや/エニックス Gファンタジーコミックス)
  • 江流「--無理です お師匠様
  • お気持ちは嬉しいですが
  • 俺は『三蔵法師』に
  • 相応しい人間じゃありません」
  • 光明三蔵「--江流『三蔵』に選ばれる
  • 基準など 元々ないのですよ
  • 私が見定めた…13年の時をかけて
  • 『三蔵』に必要なのは
  • その強い肉体と
  • それにも増して強い精神--
  • 江流「それがあの方の最後の笑顔
  • それがあの方の最後の言葉
  • そして最後の願い--」


  • ※「江流」というのは、
  • 「玄奘三蔵」になる前の名前です
-『最遊記』5巻163ページ(峰倉かずや/エニックス Gファンタジーコミックス)
  • 定義重要度2
  • 復言は、くり返しあらわれる同じ言葉が、それぞれ別の句に属するというレトリックです。言いかえれば、同じことばを違った句の一部として、連続して使うものです。

  • 効果

  • 効果1続けて使われる語を、強調する効果がある

  • 強調、文勢を強める
  • キーワード:強調、強い、強まる、強める、強化、増強、文勢を強める
  • 使い方
  • 使い方1使い方は、カンタン

  • はじめの句で使われた単語を、次の句でもう一度使う。文の頭とか文の終わりとかの指定はありません。ですので、使い方はカンタンです。
  • 例文を見る)
  • 引用は『最遊記』5巻から。

    例文になっているのは、回想のシーン。玄奘三蔵が、師匠の光明三蔵から「三蔵」の名を譲られている場面です。

    で、「復言」になっているのは、
    • 江流「それがあの方の最後の笑顔
    • それがあの方の最後の言葉
    • そして最後の願い--」
    というところ。「最後の」という言葉が、3つの句で連続して使われています。なぜ「最後の」という言葉が繰り返されるのか。つまり、なぜ「最後の」という言葉が「復言」を用いて強調されているのか。それを知りたい方は、『最遊記』を読んでみて下さい。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「復言」と「反復法」との関係
  • 「復言」は、代表的な「反復法」の例です。くり返して言葉を使うレトリックは、「反復法」にまとめられています。そちらも、あわせて参照してみて下さい。

  • 深く知る2引用例は、ミスかもしれない
  • 上に画像として引用した例。これは「復言」ではないかもしれない。ようするに「間違い」かもしれない

    どうしてかというと。
    • 接頭語「di-」は、2という意味なので、
    • 「dilogy(復言)」は2回反復のばあいに使われるレトリック用語
    とも考えられるからです。

    あまり「dilogy(復言)」なんていうマイナーなレトリック用語まで解説して本は、あまりないのですが。
    • 『英語の仕組みと新修辞法-ロレンスの場合』(田中実/鳳書房)
    では、「2回の反復」に限定していません。

    逆に、
    • 『研究社英語学辞典』(市河三喜[編著]/研究社)
    では、「2回の反復」に限定しています。

    つーか。

    • (1)mono-、(2)di-、(3)tri-、(4)tetra-、(5)penta-、(6)hexa- ……
    ということを思い出せば。こんな「di-」なんていうものは、「2」の意味だろうと気がつくはずなのに…。

    私(サイト作成者)が文系の人間なもので…。このミスは、少しかなしい…。

  • 深く知る3「中語反復」との関係
  • 以下は、私(サイト制作者)のメモ書きです。

    さっき『レトリック事典』を読んでいたら、「中語反復」(mesodiplosis)というレトリック用語を見かけた。

    この、「中語反復」(mesodiplosis)なるレトリック用語、はじめて見た。…ということは、私(サイト作成者)の不勉強ぶりをあらわしているだけなので、それはいい。

    大事なこと。
    それは、「このページで挙げた例文って、「中語反復」みたいな気がする」ということです。

    と、考えたりしてみた。けれど、いかんせん「中語反復」について書いてある本が、『レトリック事典』以外に見あたらない。

    そんなわけで、保留ということにしておきます。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 復言・復言法
  • 別の意味で使われるとき
  • ●dilogyがもっている、2つ目の意味
  • dilogyという単語は、このページで書いたように「復言」の意味があります。ですが、この"dilogy"には、もう1つの意味があります。それは、「あいまい」「どちらとも読みとれる」といったものです。実は"dilogy"については、この2番目の使いかたのほうがメジャーです。
  • 参考資料
  • ●『英語の仕組みと新修辞法-ロレンスの場合』(田中実/鳳書房)
  • 「復言」について、例文に英語を使いつつ解説してあります。手持ちの資料のなかでは、一番「復言」に力を注いでいます。