格言:人生での役に立つような考えかたを示すもの
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格言 かくげん sentence,maxim

『もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)』29ページ([原作]岩波夏海・[アニメーション制作]プロダクションI.G/アニメコミック・小学館)
  • ――(マネージャーの資質
  • みなみ(マネージャーに
  • 必要な…資質…)
  • ――(「学ぶことのでき
  • ない資質
  • 後天的に獲得でき
  • ない資質」)
  • (「始めから身につけて
  • いなければいけない
  • 資質が1つだけ
  • ある」)
  • (「才能ではない
  • 真摯さである」)
  • ――(真摯さである
-『もしドラ(もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら)』29ページ([原作]岩波夏海・[アニメーション制作]プロダクションI.G/アニメコミック・小学館)
  • 定義重要度3
  • 格言は、人生での役に立つような考えかたを、示すためのものです。短いものだけでなく、長いものということもあります。

  • 効果

  • 効果1権威づけをすることによって、説得力を増す

  • ほかの人の考えかたである「格言」を、自分の文にとりいれる。そのことによって、「格言」がもっていた権威や重みを、自分の文に取りいれることができます。
  • キーワード:権威、重み、威厳、威信、威光

  • 効果2あるモノゴトをについて「忠告」したり、「いましめたり」する

  • 「格言」を使いことで、いましめたり教訓としたりすることもあります。これについては、「 警句」のように、必ず効果として得られるものとは限りません。
  • キーワード:注意、忠告、忠言、教訓、諫言、さとす、いましめる、戒告、勧告、警告、規範
  • 使い方
  • 使い方1既に作られている名言を、「格言」として採用する

  • 世の中には、いろいろな名言が広まっています。このような名言を、自分の書いたものに引きいれて使う。そのことで、既にあった名言が「格言」としての性格を帯びてきます。
  • キーワード:既成、できあがる、作りあげる、練りあげる、ととのえる、まとまる、成りたつ、成立
  • 使い方2新しく「格言」をつくる

  • 「格言」を作る、もう1つの方法。それは、自分で「格言」を作るというものです。このページであつかっているドラッカーのような場合、この「自分で作る」ということもできます。ですが、ふつうの人の場合には、こちらを選ぶことはないと思います
  • 注意

  • 注意1エラそうな言いかたになる

  • 「格言」は、「注意」や「教訓」などに使われます。そのため、「上の立場のヒトが、下の立場のヒトに言う」というカタチになりがちです。つまり、「エラそうな」言いまわしになってしまうのです。

  • 注意2ありきたりな格言は、月並みになってしまいやすい

  • 世の中で知られすぎるようになった「格言」や、だれでも思いつきそうな「格言」。このようなものを「格言」として使うのは、ありふれた平凡なものに終わってしまいます。
  • 例文を見る)
  • 引用は『もしドラ もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』1巻から。

    主人公は、川島みなみ。高校2年生。

    川島みなみは、野球部のマネージャーになった。もともと野球部のマネージャーをしていたのは、みなみの友人がだった。けれども、その友人は、長期の入院生活を余儀なくされていた。その代わりとして、みなみは野球部のマネージャーになることに決めたのだ。

    そして、その「マネージャー」に関する本を探しに行く。入った本屋の店員に「マネージャーとかマネジメントに関する本」があるかを、たずねてみた。

    すると店員は、「マネジメント」の本をすすめる。みなみは、その本を買うことにした。これが、ドラッカーの書いた『マネジメント』という本だった。

    しかしその本は、高校の運動部にいるマネージャーについて書かれた本ではなかった。実際には、組織の経営に関することについて書かれたものだった。経営理論、つまり「マネジメント」ということ。

    けれども、せっかく買ったのだからもう少し読んでみよう。そうやって、再び読み始めた。すると、意外にも「野球部のマネージャー」にも当てはまることができることが書いてあることが分かった。

    そして、その『マネジメント』を読んでいるシーンが引用の部分となります。

    権威づけをすることによって、説得力を増す
    あるモノゴトをについて「忠告」したり、「いましめたり」する
    という「格言」の効果を、十分に発揮しているといえます。
  • 例文を見るその2)
  • 『生徒会の一存』1巻5ページ([原作]葵きせな・[漫画]10mp・[キャラクター原案]狗神煌/角川書店 角川コミックス ドラゴンJr.)
    • 会長(桜野くりむ)「世の中が
    • つまらないんじゃ
    • ないの
    • 貴方が
    • つまらない人間に
    • なったのよ
    • 杉崎(また何かの本に
    • 感化されたのか?
    • でも なるほど
    • 確かに
    • なんだかんだで
    • 「初めて」ほど楽しい
    • ことはない)


    右に引用した画像は、『生徒会の一存』1巻から。

    ここは生徒会室。
    登場するのは2人。右側にいる女の子が「桜野くりむ」。生徒会長。高校3年生だけど小さい。そして、もう1人が、杉崎。生徒会の副会長。

    くりむ(会長)がいうには、
    • 会長(桜野くりむ)「世の中が
    • つまらないんじゃ
    • ないの
    • 貴方が
    • つまらない人間に
    • なったのよ
    とのこと。

    杉崎は、くりむ(会長)のセリフを
    また何かの本に
    感化されたのか
    と思う。

    そういうことから考えると、この「格言」は月並みなものなのかもしれません。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「格言」に近いレトリック
  • はじめにも、ちょっと書きましたが。「格言」に近いレトリック用語は、いろいろあります。そして、「マクシム(maxim)」や「センテンス(sentence)」といったように、日本語と同じように英語にも、似たようなレトリック用語がたくさんあります。

    ようするにレトリックの学者によって、定義がバラバラなのです。ある1つのフレーズを、「警句」にするのか「格言」にするのか。それとも「箴言」にするのか。ぜんぜん、一致するポイントが見あたりません。

    それでも、日本語に対応する英語をならべてみました。
    これは、「ことわざ」だとか「格言」だとか。そういった用語が、英語ではどう対応しているかを書いてみたものです。この表を使うことで。「ことわざ」だとか「格言」だとかの境界線を、どこに引くか。その判断をするための資料として、役に立つかと思います。
    • 日本語→当てはまるレトリック用語
    • 寓言」・「たとえ話」→parable
    • 「格言」→sentence,maxim
    • 箴言」→proverb
    • ことわざ・諺」→adage,paroemia
    • 「なぞ」→enigma,riddle
    • 「寓話」→fable
    • 警句」→aphorism,epigram
    しかし現実には、こんなにキッチリと区別できません。そのことは、日本語のほうにも英語のほうにも当てはまります。

    ですので、とりあえずの参考のものと考えておいてください。上に書いた表は、「だいたいこんなもの」という程度のものです。間違っても、左に書いた日本語と、右に書いた英語とが、一対一で対応しているわけではありません。というのは、完全にこれらを振り分けることは非常に困難だからです。

    なお、くわしくは「 成句・イディオム」のページを参照してください。

  • 深く知る2「格言」と「警句」との関係
  • 「格言」と、かなり似ているレトリックに「 警句」があります。

    この「格言」と「 警句」という2つのレトリックは、多くの共通点があります。ですので、この2つのレトリックを特別に分けて考えないものもあります。

    ですが、「格言」と「 警句」との大きな違いがあります。それは、つぎの3つです。

  • 深く知るa「格言」は、意外性のあるフレーズである必要がない
  • 「格言」は、意外性のある奇抜なフレーズである必要はありません。これ対して「 警句」は、ふつうでは思いもよらない、といった意表をついたものであることが求められます。

  • 深く知るb「格言」は、短いフレーズに限らない
  • 「格言」は、特に長さに関する制限はありません。簡潔なものもあるし、長いものもあります。しかし「 警句」は、短い簡潔なフレーズが使われます。

    なお、あまりに長い「格言」は「 引用法」と考えることもできるものになります。

  • 深く知るc「格言」は、諷刺や皮肉でなくてもよい
  • 「格言」は、諷刺や皮肉といったものは求められません。ですが「 引用法」の場合には、諷刺や皮肉を含んでいることがポイントとなります。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 格言
  • 呼び方3
  • マキシム・センテンス
  • 参考資料
  • ●『レトリックの消息』(佐藤信夫/白水社)
  • 「格言」について、一段論法という視点から考察されています。
  • 余談

  • 余談1くりむのセリフを、レトリックの視点からみると
  • 上にかいたとおり、くりむ(会長)は、
    • 会長(桜野くりむ)「世の中が
    • つまらないんじゃ
    • ないの
    • 貴方が
    • つまらない人間に
    • なったのよ
    と、言いました。

    このセリフを、レトリックの考えかたで見てみます。

    まず、2度出てくる、
    つまらない
    が「 異義復言」であるのは、まず間違いありません。

    つぎに、
    • 世の中が ~
    • 貴方が ~
    が対比になっていることを指摘できます。「 対照法・対句」だといって差しつかえないでしょう。さらにいえば、
    • ~が つまらないんじゃない
    • ~が つまらない
    と、こちらも対比の関係を、見てとることができます。

    したがって、この、
    • ~が つまらないんじゃない
    • ~が つまらない
    という部分は、
    • 世の中が ~
    • 貴方が ~
    が対比と相まって、いっそう効果的に訴えかけることができるようになっていていると言えます。

    ただ、先ほどもかきましたが。くりむ(会長)が胸を張って言っているわりには、このセリフはたいしたことはありません。