複合語:2つのことばが結びついて、新しいことばをつくる
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複合語 ふくごうご compound

-『ナイト・ラヴァーズ』1巻83ページ(清水洋三・文月剣太郎/小学館 少年サンデーコミックス)
  • 「オペラ劇場と
  • コンサートホールを中心に
  • アートギャラリー
  • 巨大な総合文化施設」

  • 「この
  • 「東京オペラタウン
  • にね。」
--『ナイト・ラヴァーズ』1巻83ページ(清水洋三・文月剣太郎/小学館 少年サンデーコミックス)
  • 定義重要度2
  • 複合語は、2つのことばが結びついて、新しいことばをつくるレトリックです。つまり、これまであったことばを単純に2つくっつけて、今までなかったことばをつくるものです。

  • 効果

  • 効果1よく使う熟語を、1つにまとめることで用いやすくする

  • 日ごろの生活で、よく使うコトバ。そんなコトバは、1つの単語にまとめるほうが能率的で使いやすいものになります。
  • キーワード:短い、短縮、縮む、縮まる、縮める、つづめる、つづまる、詰める、切りつめる、便利、有効、有用、有益、便益、利便
  • 使い方
  • 使い方1単純に2つの単語を結びつける

  • 単純に2つの単語を結びつける。たまには3つ以上だということもありますが、たいていは2つ組み合わせることで「複合語」は成立します。。
  • 例文を見る)
  • 引用は『ナイト・ラヴァーズ』1巻から。

    主人公は、「神田雷」。

    彼は、昼間は全くのダメ男。でも夜がやってくると、「雷」は真っ白な髪の色になり、怪盗として活躍する。その怪盗のときには、「ナイト・ラヴァー」と名乗っている。

    それで、今回、怪盗「ナイト・ラヴァー」のターゲットとなったのが、「東京オペラタウン」。つまり、引用として使った部分で言っている建物のことです。

    ひとつずつ説明していくと、まず、
    「コンサート」と「ホール」をが結びついて
    【コンサートホール】


    つぎに、
    「アート」と「ギャラリー」とが結びついて
    【アートギャラリー】


    さいごに、
    「オペラ」と「タウン」とが結びついて
    【オペラタウン】


    というように、2つの言葉をくっつけて、新しい言葉をつくっています。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「複合語」の作りかた
  • 上にあげた例は、結合されている2つのことばが、「名詞+名詞」となっているものだけです。

    けれども「複合語」は、そのように簡単に終わってしまうことはできません。どうしてかというと、「複合語」をつくるパターンには、いろいろなものがあるからです。

    『日本語解釈活用事典』(渡辺富美雄・村石昭三・加部佐助[共編著]/ぎょうせい)には、次のようなパターンが示されています。ちょっと漢字が多くて読みにくいかもしれませんが、ゆっくりと読んでみてください。


    • 1「名詞」化される例
    • 山里(名詞+名詞)、殿上人(名詞+名詞+名詞)、夜明け(名詞+動詞)、落ち葉(動詞+名詞)、読み書き(動詞+動詞)、浅瀬(形容詞語幹+名詞)、夜長(名詞+形容詞語幹)、薄くもり(形容詞語幹+動詞)、割り安・売り高(動詞+形容詞語幹)、遠浅(形容詞語幹+形容詞語幹)


    • 「動詞」化される例
    • 旅立つ(名詞+動詞)、駆け寄る(動詞+動詞)、近寄る(形容詞語幹+動詞)


    • 3「形容詞」化される例
    • 名高し(名詞+形容詞)、待遠し(動詞+形容詞)、細長い(形容詞語幹+形容詞)、軽々しい(形容詞語幹+同じ形容詞)


    • 4「副詞」化される例
    • 時おり(名詞+名詞)、なにやら(名詞+助詞)、なるべく(動詞+助動詞)、あまりに(動詞+助詞)、かさねがさね(動詞+動詞)、長々と(形容詞語幹+形容詞語幹+助詞)


    • 5「接続詞」化される例
    • ゆえに(名詞+助詞)、並びに(動詞+助詞)、けれども(助動詞+助詞)、または(副詞+助詞)


    • 6「代名詞」化される例
    • わ主(わぬし)、わ御前(わごぜ)、わ僧(わそう)(代名詞+名詞)、だれそれ、かれこれ(代名詞+代名詞)


    こんなふうに「複合語」には、いろいろなパターンがあります。

  • 深く知る2「複合語」と、ほかのものとの違い
  • 「複合語」に近い、ほかのレトリックをご紹介します。

  • 深く知るa「複合語」と、2つの単語を結びつけただけのものとの違い
  • たとえば、「軽石」と「軽い石」。はじめのもの(軽石)が「複合語」で、次のもの(軽い石)が、「2つの単語を結びつけただけのもの」。「軽石」は、それ以上分割することはできなくなってます。そういったものを「複合語」と呼びます。「軽い石」は「軽い+石」に分解することができますので、こちらは「複合語」ではありません。

  • 深く知るb「複合語」と「派生語」との違い
  • 派生語」とは、独立性の低い語(接辞)をつけものです。

    たとえば「お箸」は、「お」+「箸」という成り立ちかたをしています。このうち「箸」のほうは、それ1つでも単語として使うことができます。けれども「お」は、それだけで単語として使うことはできません。

    このようなばあいの「お」に当たるものを「接辞」といいます。「接辞」はそれ単独では単語を作ることができません。

    「か細い」の「か」、「真心」の「ま」など、日ごろの生活のなかで、意識されずに使われているはずです。

  • 深く知る3「複合語」があらわす主要な要素は、最後に出てくる
  • 「野球少年」は、野球に打ちこんでいる子どものことです。つまり、「少年」のなかで「野球」が好き」ということです。「野球少年」は、人間を指しています。

    これに対して「少年野球」。これは、子どもたちが一生懸命プレーをする「野球」のことです。ようするに、「野球」のなかで「少年」が取り組んでいるものということです。「少年野球」は、スポーツの一種を意味しています。

    まとめると、「野球少年」は「少年」のタイプの1つ。「少年野球」は「野球」の1ジャンル。ともに、最後の部分がその中心的な意味をになっています。これが「複合語」の特徴です。

  • 深く知る4もはや「複合語」とは思えなくなっているもの
  • 「複合語」として作られた単語の中には、もはや「複合語」だとは思われないようになっているものもあります。

    新造語法」のページも書いてありますが、たとえば「ハマグリ」。これはもともと、「浜」+「栗」=「ハマグリ」というのが成り立ちです。ですが今では、指摘されなければ分からないほど融合が進んでいます。

    あとは、「雷」=「神」+「鳴」といったものも、これに当たります。

  • 深く知る5発音など、「複合語」の音に関すること
  • 音に関して、つぎにような特徴があります。

  • 深く知るa「複合語」どうし、発音が同じにならないように変えてある
  • 複合語をつくると、どうしても発音が同じになってしまいそうなものが出てきます。たとえば、「しけんかん」。これを何も考えずに発音すると、「試験官」(人間)なのか「試験管」(実験道具)なのか分からないということになってしまいます。

    そこで、「試験官」と「試験管」は、アクセントによって区別されます。ちょっとHTMLではうまく表現することができないのですが、「し↑け↓んかん」(=試験官)と「し↑けんかん」(=試験管)というような区別です。実際に発音してもらえれば、すぐに分かると思います。

    ただ、「好景気」と「後継機」のように(たぶん共通語では)同じアクセントになるものもあります。

  • 深く知るb「複合語」になったときに発音が変わる(連濁)
  • 「雨傘」は、「あがさ」ではなく「あがさ」と発音します。同じように、「本棚」は「ほんな」(「ほんな」ではない)、「ウミガメ」は「うみめ」(「うみめ」ではない)となります。

    これは、「連濁」と呼ばれる現象です。

  • 深く知るc「複合語」になったときにイントネーションが変わる
  • 多くのばあい「複合語」は、もとの単語がもっていたイントネーションをなくします。そして、「複合語」としてのイントネーションを生みだします。

    たとえば、「青写真」という「複合語」。これは「青」+「写真」という複合によって作られたものです。青は「↑あ↓お」、写真は「しゃ↑しん」です。

    これをただつなげると「青写真」は「↑あ↓おじゃ↑しん」になるはずです。けれども実際にはこのようにはなりません。「↑あおじゃ↓しん」と発音されます。

    例外もありますが、原則的にはこのルールにしたがっています。

    くわしくは、『語形成と音韻構造(日英語対照研究シリーズ3)』(窪薗晴夫/くろしお出版)をご参照ください。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 複合語・複合
  • 呼び方4
  • 合成語・合成
※「複合語」と「合成語」とを、どのように区別するかについて。これは、学者の中でもまとまった見解がないようです。なのでとりあえず、「複合語」と「合成語」は同じものとして扱っていくことにします。
  • 参考資料
  • ●『新語はこうして作られる〈もっと知りたい!日本語〉』(窪薗晴夫/岩波書店)
  • このページは、だいたいこの本をもとに作られています。この本はやさしく書かれているので、参考になるのではないかと思います。
  • ●『ことばの力を育む』(大津由紀雄・窪薗晴夫[共著]/慶應義塾大学出版社)
  • こちらのほうが、多めに解説がなされていると思います。たとえば、3つ以上の単語が組み合わさってできた「複合語」については、こちらに記載があります。