接尾辞法:意味を添える「接尾辞」を単語の後につけるもの
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接尾辞法 せつびじほう suffixation

『爺さんと僕の事件帖』1巻168〜169ページ(しかくの/角川書店 あすかコミックスDX)
  • 警部「おい なんだ
  • 熱心に 読んで
  • 手がかりか?」
  • 警官「…警部
  • ホモ本です」
  • 警部「はあ——!!?」
  • 警官「しかも ナニやら
  • 登場人物には
  • モデルが存在
  • しているようです!
  • もしかして
  • 本人たちが
  • 描かれたのを
  • 恨んで…!?」
  • 警部「え!?
  • そんじゃ この
  • クラ♡リュミって
  • 外人!?」
  • 警官「けど 奥付の住所
  • ここじゃ
  • ないですよ」
  • 「それに 複数で
  • 描いた本も
  • あるようです」
  • 警部「全員に 当たれ!
  • 印刷所もだあ!!」
  • 清香「ああ! お姉ちゃん
  • なんで こんな
  • ふしだらっちい本
  • 持ってるの!?
  • 清香 ワケわかんなくて
  • 胸が張り裂け
  • そうよおぉ!!」
-『爺さんと僕の事件帖』1巻168〜169ページ(しかくの/角川書店 あすかコミックスDX)
  • 定義重要度2
  • 接尾辞法は、「接尾辞」をつけるレトリックです。つまり、意味を添えるための独立性の低いことばを、単語の後につけるものです。

※このサイトでは、ふつうはそのような「接尾辞」をつけないのに「接尾辞」をつけるという、意外性のあるをつけるものを「接尾辞法」とします。つまり、「接頭辞法」を「 新造語法」の一種と考えていくことにします。
  • 効果

  • 効果1新しい意味をもった単語を、つくりだ

  • 「接尾辞法」を使うと、新しい意味の単語を作ることができます。これは「接尾辞法」が「 新造語法」の役割をもっていることを意味します。
  • キーワード:新造語法
  • 使い方
  • 使い方1派生接尾辞をつける

  • 「接尾辞」は大きく見ると2つのタイプがあります。1つは、文法によって単語の終わりの部分でつづりが変わるもの(たとえば、bookがbooksになるようなもの)。これを「屈折接尾辞」といいます。
    もう1つは、新しい単語をつくりだすために、単語の最後でのつづりが変わるもの。これを「派生接尾辞」といいます。
    ですが、より多く使われるのは「派生接尾辞」です。そのため、このページでは「接尾辞法」を「派生接尾辞」として用いられるばあいに限定します。
  • 例文を見る)
  • 例文は、『爺さんと僕の事件帖』1巻から。

    主人公の「中寺逸実」のクラスメイトには、「鈴木清香」という女の子がいた。そして、この場面で問題となっているのは、彼女の姉「明日香」。

    突然、電話で「明日香」が誘拐されたと告げられる。妹の「清香」たちは急いで警察に連絡をする。ほどなくして、数名の警官がやってくる。

    このような誘拐事件の場合、被害者である「明日香」の部屋も、捜索の対象となるらしい。なので警官は、家族の了解を得て「明日香」の部屋の捜索にとりかかる。

    が、そこで見つけたものは、「ホモ本」の山。ようするに「同人誌」。

    だけれども、純真だった妹の「清香」には、あまりにショックが大きかった。いわく、
    • 清香「ああ! お姉ちゃん
    • なんで こんな
    • ふしだらっちい本
    • 持ってるの!?
    • 清香 ワケわかんなくて
    • 胸が張り裂け
    • そうよおぉ!!」
    この「ふしだらっちい本」という部分が「接尾辞法」と考えます。つまり、この「ふしだらっちい」ということばは、「弱っちい」とか「安っちい」と同じように、「〜っちい」という「接尾辞」が付いたものだと考えます。

    なお、
    気がつく人はすぐに気がつくと思いますが、「弱っちい」も「安っちい」も、両方とも「形容詞+っちい」という組み合わせになっています。ですが、「ふしだらっちい」は違います。この「ふしだらっちい」は、「形容動詞+っちい」という結合なのです。

    そのため私(サイト作成者)は、「接尾辞法」と決めるまでに、1日ほど考えあぐねました。「混成語」でもないし。…いったい、なんなのだろうと考えて、ようやく「接尾辞法」にすることに決めました。

    ですがこの文には、「〜っちい」という「接尾語」が一般的な「形容動詞」には付かないはずなのにくっついている。ということで「 新造語法」の一種と考えてよいかと思います。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1日本語での使われ方

  • 深く知るa日本語では、「接尾辞」を同時にいくつも使える
  • 日本語では、「接尾辞」いくつも積みかさねて使うことができます。
    • 書カ セ ラレ ナカッ ラ ラシイ
    • ——言語学大辞典〈第六巻〉より抜粋
    のように、5段階の「接尾辞」を使っています。ここで注目するのは、「接尾辞」が加わるごとに新しい語幹(派生語幹)を作っているということです。

  • 深く知るb日本語では、「語幹」と「接辞」の切れ目が見つかりやすい
  • 接尾辞がつけられることになる「語幹」と、語幹の後に続く「接尾辞」。この2つの関係から考えると。
    日本語では、この2つの境目がカンタンに見つかります。(屈折語の場合)
    これに対して、英語など。こちらでは、この2つがどこで区切られるのかというのが、難しい場面もあります。(膠着語の場合)
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 接尾語法・接尾辞添加
  • 参考資料
  • ●『言語学大辞典 第6巻術語編』(亀井孝・河野六郎・千野栄一[編著]/三省堂)
  • 日本語の例文がある、数少ない本。英語学辞典では、ほとんど日本語は扱われないので、この本は重要です。