アクロスティック:縦読み。行頭の文字を追うと違う意味になる
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アクロスティック
関連レトリック
アクロスティック
アクロスティック
あくろすてぃっく
acrostic
え
ものにされる
る
おれはキラのそんざいを
し
ってい
つ
にころされるだけだ
て
まねきしているあい
い
ずれしけいになるか
る
と
か
んがえ
死
ぬのはこわくない
神
のもとへ
は
やくめされたい
り
ん
できないしんだほう
ご
めんだもうがま
し
しゅうがする
か
んごくは
た
いし
ベ
ッドはか
な
げいている
い
つも
-『DEATH NOTE』[上]1巻162ページ・[中]2巻16ページ・[下]2巻24ページ([原作]大場つぐみ・[漫画]小畑健/集英社 ジャンプ・コミックス)
アクロスティック
は、「それぞれの行の、最初に出てきていることば」のうちで、「先頭で使われている文字」をつなげていくと、べつの単語が浮き出てくる。そういったレトリックです。
本体の意味が失われ、軽い意味をもつようになる
「頭文字語」を使って作られたことば。このことばは、ふだんの生活の中になじんでいくにつれて、もともと持っていた重厚さを失います。その結果、より軽いイメージのことばになります。
:軽い、軽快、すっきり、さっぱり、さばさば
ことばを織りこむことができる
文とか節とかの、いちばん最初の文字をつなげていく。それはつまり、わざわざ「相手に伝わりにくい」方法をとっていることになります。ですので、このことを利用して、直接には言いにくいことを織りこんで、相手に伝えることができます。
:隠しことば、暗示、織りこむ、繰りこむ
ことば遊びになる
この「アクロスティック」は、それ自体で「ことば遊び」になります。つまり、「アクロスティック」を作ることが、1つの遊びとなることがあります。その場合には、だれかに対して特別に何かを示すためのものではないこともあります。
さいしょの文字をつなげると、ことばが出てくるように作る
単語だとか、節だとか、文だとか。そういったものの、それぞれの先頭にある文字をひろっていく。すると、何か意味が読みとれる。そのようにすることで、「アクロスティック」を作ることができます。
:折り句、折句、縦読み
文末で作ることもできる
たまに、この「アクロスティック」が、最初の文字をつなげるのではない場合もあります。たとえば、最後の文字をならべるということもありますですが、ほとんどの場合、文のさいしょにある音をつなげていくことを指します。
「アクロスティック」を使ったことを、ほのめかす必要がある
この「アクロスティック」というものは。
「アクロスティック」を使ったということが、伝える相手に分かってもらえない可能性があります。というのは、もしもふつうの文章だと考えて読むのであれば。ふつうのヒトは「アクロスティック」を使った文章だとは、考えないからです。
そのため。せっかく「アクロスティック」を使ったはずなのに、そのことが相手には読みとってはもらえなくなる。…といったことが、十分ありえます。
そういったわけで。
読み手とか聞き手とかに「アクロスティック」の文章なんだと気づいてもらうためには、なにかつけ加える必要があります。それは、「ほのめかす」「暗示する」といった方法でもかまいません。また、「ダイレクトに書く」という手段もありえます。ですがどっちにしても、なにか「アクロスティックだ」という合図をつけておかなければなりません。
日ごろ使うレトリックではない
この「アクロスティック」というレトリックは、日ごろ使うものではありません。たしかに、この「アクロスティック」は、「ほんとうの意味を隠して伝える」ができます。けれども「アクロスティック」を作るためには、かなりの時間がなければなりません。なので、もっと作りやすい「レトリック」を代わりにすることを考えたほうがいいという時もあります。
例文は『DEATH NOTE』1巻・2巻から。
主人公は、夜神月。名前の読みかたがちょっと変わっていて、「月」で「ライト」と読みます。
月は、学校で「デスノート」をひろう。そしてこの「デスノート」をめぐって、争いがおこる。それがストーリーとして描かれていきます。
では、その「デスノート」とは、どんなものか。この「デスノート」を使うと、人が殺せます。ノートのタイトルそのものです。具体的には、殺したい相手の顔をおもいうかべながら、その相手の名前を「デスノート」に書く。そうすると、その相手は死ぬことになります。この「デスノート」は、もともと死神が持っているはずのものでした。
さらに、死ぬ方法も決めることができます。「バスジャック中に事故死」とか、ある程度は指定が許されています。
月は、凶悪犯罪者を殺すため「デスノート」を何度も使った。その結果、凶悪な犯罪者たちが相次いで死ぬということになった。警察も、これは不自然だと考えるようになります。そして、この何人も殺害をしている人を「キラ」を呼ぶことにしました。
そして、そこで「L(エル)」に捜査をゆだねることにした。この「L(エル)」というのは、迷宮入り事件の「最後の切り札」とされていて、その素顔はだれも知らない。知らないから、相手の顔をおもいうかべることができない。だから、「デスノート」で「L(エル)」を殺すことができないというわけです。
ここに、キラ(を演じる月)とL(エル)との火ぶたが切られることになります。
月は、ある凶悪犯罪者を殺すことにした。ちなみに「凶悪」というのは、放火5件で13人殺害です。それはいいとして、この凶悪犯罪者の名前を「デスノート」にかくときに、一つ新しいことをした。それは、ダイイングメッセージ」をのこさせた、ということです。
ここで引用した3つが、のこされた「ダイイングメッセージ」となります。そして、ここで使われているのが「アクロスティック」です。
引用は、『せんせいのお時間』3巻から。
みか先生は高校の国語の先生で、担任もしています。しかし、引用した部分は「番外編」ということで、小学校(4年?)のクラスを担任している、といった設定になっています。
で、避難訓練の時の「合い言葉」を教えているのが、引用のシーン。
つまり、それぞれの句の先頭の語をならべると「お・か・し」になる。
…そのはずなのですが。このクラスは一筋縄ではいかないメンバーがそろっている。
お
しゃれで
か
なりいけてる
し
ょうがくせい!!
お
いしそうで
か
かわいい
し
ょーとな
みかセンセ♡
お
したおせ
か
どわかせ
し
あわせになろうな/末武ッ
と、かなり独創的な「お・か・し」が登場してきます。
まあ、有名な言葉だから書くまでもない気がするけど。正解は、みか先生の言っている、
お
さない
か
けない
し
ゃべらない
しかし、上で使った4つの文。そのどれもが、「お・か・し」を先頭に置いています。
このようなものが、「アクロスティック」に当たります。
【おまけ】
蛇足。
ここでの引用した画像を、説明するために。書くべきことなのかどうか迷いましたが、念のために書いておくことにします。
工藤の言っている、
おしたおせ
かどわかせ
しあわせになろうな
末武ッ
に出てきている「末武」は、男です。つまり、工藤(♂)が好きなのは、末武(♂)なのです。
『せんせいのお時間』第3巻に書かれている「末武」の紹介。 特徴:セクシャルに倒錯なこと まったく、その通りです。
だから、末武(♂)への気持ちとして、「
お
したおせ/
か
どわかせ/
し
あわせになろうな/末武ッ」という言葉が出てくるんです。
説明の必要があるのかは迷いましたが、いちおう書いておきました。
「折句」との関係
この「アクロスティック」が短歌で行われる場合には、特に「折句」といいます。
つまり、短歌の「五・七・五・七・七」のそれぞれの句の最初にある言葉の場合は、「折句」という名前がつけられています。
「あいうえお作文」との関係
あと、この「アクロスティック」と同じようなことばとして、「あいうえお作文」というものがあります。
実のところ、この「あいうえお作文」という呼びかたが、いちばん広まっているみたいです。
ためしにgoogleで、インターネットのサイトでどれくらい多く使われているか調べてみました
用語
-
青:2007年調査
-
緑:2020年調査
「アクロスティック」
-
734件
-
約36,300件
「折句」
-
15,600件
-
約52,300件
「折り句」
-
9,780件
-
約89,200件
に対して
「あいうえお作文」
-
97,500件
-
約287,000件
「アイウエオ作文」
-
14,700件
-
約11,100件
・・・googleの性能が13年の間に向上したことだけが判明する。ただそれだけの、調査になってしまった。
頭文字語・頭字語
アクロニム・略号
『新語はこうして作られる〈もっと知りたい!日本語〉』(窪薗晴夫/岩波書店)
私(サイト作成者)が読んだ中では、「頭文字語」について一番多く書かれていました。
『ネーミングの極意-日本語の魅力は音がつくる-(ちくま新書 470)』(木通隆行/筑摩書房)
頭文字をとってつくられた苗字について、ふれられています。「
加
賀の
藤
原」→「加藤」といいたようなもののことです。
森鴎外の「舞姫」との関係
ここからは、ちょっと違った話題にうつります。
結論から先に書くと、
『舞-HiME』は、森鴎外の「舞姫」を意識して作られたタイトルではないかと思う
ということです。
ストーリーの内容とか、話の展開とかには、たぶん関連性はないと思います。けれども、タイトル部分の『舞-HiME』は、森外の「舞姫」をもじっているのではないかと思うわけです。
しかしこれは、どのレトリックに分類すればいいでしょうか。
このあたりの区分は難しいので、ピッタリと「これだ!」という感じのレトリックはありません。
なお。
1巻157ページにある、プロデューサー・古里尚丈さんの話によると。
『舞-HiME』というのは「僕のお姫さま」という意味で、(後略)
と書かれています。つまり、「My」+「姫」という意味なんですね。
関連するページ
新造語法
:新しくことばを作るレトリックのまとめのメージ
省略法
:ことばを短く省略するレトリックのまとめのページ
そのた
●新語の作成に関するもの
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複合語短縮
-
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