交叙法:一定の規則に従って文字をならべる
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交叙法 こうじょほう ——

短編「TOKYO黒猫娘」『東京ミュウミュウ』4巻171〜172ページ所収(征海未亜・吉田玲子/講談社 コミックスなかよし)
  • (野田くんを守るんだ)

  • ひとーつ…
  • ヒトのカレシをランチにするなんて

  • ふたーつ…
  • ふとどきなそこのにーさん

  • みっつ……
  • の十字星まで

  • (まけるわけには
  • いかない——!!)

  • ぶっとびやがれ
  • 豪華絢爛ウルトラスターマイン!!
-短編「TOKYO黒猫娘」『東京ミュウミュウ』4巻171〜172ページ所収(征海未亜・吉田玲子/講談社 コミックスなかよし)
  • 定義重要度1
  • 交叙法は、一定の規則に従って文字をならべるレトリックです。つまり、ある言葉に使われている文字が、決まった順番にしたがって並ぶようにするものです。

  • 効果

  • 効果1「交叙法」は、あまりマジメな効果は期待できません。どちらかとうと、ことば遊び(言語遊戯)のように楽しむことが求められるレトリックです。key

  • ことば遊び、言語遊戯
  • 使い方
  • 使い方1一定の規則で文字がならぶように、配置する

  • 文字の配列に関係した、なんらかのルールを作る。そして、そのルールにしたがって、文字を配置する。これが「交叙法」です。
  • 例文を見る)
  • 例文は、短編「TOKYO黒猫娘」からです(『東京ミュウミュウ』4巻所収)。

    吸血エイリアンの「バグ」が地球に住み着いた。そこで、主人公の「緋姫(ひめ)」という女の子が、「バグ」たちをやっつけるということになった。

    その「バグ」をやっつける時の言葉が、引用のシーン(ちなみに「野田くん」は、つき合っている男の子の名前)。
    ひとーつ…
    ヒトのカレシをランチにするなんて

    ふたーつ…
    ふとどきなそこのにーさん

    みっつ……の十字星まで

    強調してあるところを見れば分かるとおり、言葉が規則的に並んでいます。

    「ひとーつ」の時には「ひ」で始まる言葉。
    「ふたーつ」の時には「ふ」で始まる言葉。
    「みっつ」の時には「み」で始まる言葉。

    このように、一定の規則にしたがって言葉を並べるのが「交叙法」です。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「交叙法」と「ことば遊び」との関係
  • 文字の配列に関わるレトリックで、「ことば遊び」の一種といえます。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 交叙法
  • 参考資料
  • ●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
  • 「交叙法」という、かなりマイナーなレトリック用語を扱っている本は、少ないです。その中では一番くわしく書いてある書籍として、これをあげておきます。
  • 余談

  • 余談1「桃太郎侍」の決めゼリフ
  • なお、石元様からいただいた投稿では、次のことをご指摘していただきました。

    石元様の投稿によると、この「ひとーつ/ふたーつ/みっつ」という言葉の使い方は、「桃太郎侍」の決めぜりふの、
    「一つ、人の世生き血をすすり。二つ、不埒な悪業三昧。三つ、醜い浮世の鬼を退治てくれよう桃太郎。」

    というものの「模擬」にもなっている、とのご指摘です。おそらくその通りだと思います。

    私(サイト作成者)は20代(※)なので、「桃太郎侍」を見ていた世代ではありません。なので、この「桃太郎侍」の「模擬」ということには気がつきませんでした。
    (※これを書いた当時は20代だった。今は40代です。こんな、ふとしたところで年齢を重ねていることに気づかされました)。

  • 余談2「桃太郎侍」の決めゼリフ——つづき
  • 上で引用した「ひとーつ…」「ふたーつ…」「みっつ…」というつながりになっているものを、もう1つ見つけました。『七人のナナ』(今川泰宏・国広あずさ/秋田書店 少年チャンピオンコミックス)の、1巻164ページ-165ページです。

    ナナたちはお年玉を盗まれてしまう。そしてナナからお年玉を盗んだヤツらは、そのお金で飲み食いをする。その飲み食いをしているところへ乱入するナナたちのセリフが注目点です。

    ]具体的にはそのセリフは、こんな感じになっています。
    ひと〜つ
    ひとのお金を奪い
    〜〜〜〜…

    ふたぁーつ
    ふらちな悪行三昧

    みっつ
    みんなの神近君を
    〜〜〜〜

    よっつ
    酔ったイキオイで

    やはり、「桃太郎侍」モードが入っています。