メソスティック:行の中の文字をつなげる「ななめ読み」
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メソスティック
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めそすてぃっく
mesostich
ポスター
隣人部
とにかく臨機応変に隣人
とも善き関係を築くべく
からだと心を健全に鍛え
たびだちのその日まで、
共に想い募らせ励まし合い
皆の信望を集める人間になろう!
小鷹「!!?」
夜空「我ながらよくできたと思う
今からこれを
学校中の掲示板に
貼るぞ
…なんだ
何か問題でもあるか?」
小鷹「なんでこれで問題ないと
思うのかわからん
何をやる部なのか
わからないし
これじゃ誰も
集まらないだろ…」
夜空「ふん 甘いな小鷹
この文章を斜めに読んでみろ」
小鷹「斜め……?」
ポスター
と
にかく臨機応変に隣人
と
も
善きべ関係を築くべく
から
だ
と心を健全に鍛え
たびだ
ち
のその日まで、
共に想い
募
らせ励まし合い
皆の信望を
集
める人間になろう!
小鷹「…地味なネタ 仕込みやがって…」
-『僕は友達が少ない』1巻68~70ページ(いたち[漫画]・平坂読[原作]・ブリキ[キャラクター原案]/メディアファクトリー MFコミックスアライブ)
メソスティック
は、ことばがいくつかの行がならんでいるときに、それぞれの行の中にある文字を取り出して、これをつなげる。そして、そのことで新しいことばを生みだす――というレトリックです。
ことばを織りこむことができる
行とか節とかの、中にあるの文字をつなげていく。それはつまり、わざわざ「相手に伝わりにくい」方法をとっていることになります。ですので、このことを利用して、直接には言いにくいことを織りこんで、相手に伝えることができます。
:隠しことば、暗示、織りこむ、繰りこむ
ことば遊びになる
この「メソスティック」は、それ自体で「ことば遊び」になります。つまり、「メソスティック」を作ることが、1つの遊びとなることがあります。その場合には、だれかに対して特別に何かを示すためのものではないこともあります。
さいしょの文字をつなげると、ことばが出てくるように作る
単語だとか、節だとか、文だとか。そういったものの、それぞれのにある文字をひろっていく。すると、何か意味が読みとれる。そのようにすることで、「メソスティック」を作ることができます。
:折り句、折句、縦読み
「メソスティック」を使ったことを、ほのめかす必要がある
「メソスティック」を使ったということは、伝える相手に分かってもらえない可能性があります。というのは、もしもふつうの文章だと考えて読むのであれば。ふつうのヒトは「メドスティック」を使った文章だとは、考えないからです。
そのため。せっかく「メソスティック」を使ったはずなのに、そのことが相手には読みとってはもらえなくなる。…といったことが、十分ありえます。
そういったわけで。
読み手とか聞き手とかに「メソスティック」の文章なんだと気づいてもらうためには、なにかつけ加える必要があります。それは、「ほのめかす」「暗示する」といった方法でもかまいません。また、「ダイレクトに書く」という手段もありえます。ですがどっちにしても、なにか「メソスティック」という合図をつけておかなければなりません。
このことは、例に挙げた小鷹と夜空の会話にも当てはまります。夜空に「斜めに読め」といわれて、はじめて小鷹は「斜め読み(≒メソスティック)」のことに気がついています。
これが「メソスティック」だということ。そのことを受け手の側に送ることによって、はじめて「メソスティック」が成りたつわけです。
日ごろ使うレトリックではない
この「メソスティック」というレトリックは、日ごろ使うものではありません。たしかに、この「メソスティック」は、「ほんとうの意味を隠して伝える」ができます。けれども「メソスティック」を作るためには、かなりの時間がなければなりません。なので、もっと作りやすい「レトリック」を代わりにすることを考えたほうがいいという時もあります。
引用は、『僕は友達が少ない』1巻から。
主人公は羽瀬川小鷹(はぜがわ・おだか)。友達が少ない。
そして、その小鷹と会話をしているのは三日月夜空(みかづき・よぞら)。やっぱり、友達が少ない。
たしかに友達は、いるほうがいい。でも、いまさら友達を作るのために部活動に入るのとかは気に入らない。そんな夜空は、名案(?)を思いつく。そうだ、新しい部活を作ればいいんだ、と。
そんなわけで、「隣人部」という名前の部が成立した。小鷹は成りゆきで、このアヤしすぎる部活に入ることになる。
引用のシーンは、そんな「隣人部」に新しい部員を募集するために、ポスターを作っているところ。
このユニークなポスター。ちょっと見た感じでは、ただの(失敗作の)ポスターにしか見えない。でもこれを、ななめに読んでいくことで、違った意味をもったポスターになる。
ポスター
と
にかく臨機応変に隣人
と
も
善きべ関係を築くべく
から
だ
と心を健全に鍛え
たびだ
ち
のその日まで、
共に想い
募
らせ励まし合い
皆の信望を
集
める人間になろう!
…そう。これは「ともだち募集」のポスターなのだ。
このように、それぞれの行に書かれた文字列のうちで、真ん中にある文字をつなげる。そのことによって、新しい内容を表現する。これが「メソスティック」です。
なお、ここにあげた例は「斜め読み」にも含まれます。
「斜め読み」との関係
時々見かける「斜め読み」というもの。これも、「メソスティック」に近いものだと思われます。
この「斜め読み」。残念ながら「2典plus」には、のっていませんでした。(「縦読み」は、あったけど)
なので、「ウィキペディア」の〈縦読みの項目にある、「
斜め読み
」の解説〉を、ご参照ください。
ただし、「メソスティック」と「斜め読み」には、大きな違いがあります。
「斜め読み」は、その名の通り「斜めに読む」のでなければなりません。ですが「メソスティック」は、「斜め」だけに限定はされません。それぞれの行にあることばのどこからでも、文字を抜き出すことができます。これは、非常に大きな違いです。
斜め読み
メソスティック
中折り
特になし
いまのところ、「メソスティック」について、くわしく書いてある本は見あたりません。
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