短縮語:ことばを短くして一部だけを使う
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関連レトリック短縮語

短縮語 たんしゅくご shorting

『ウルトラマニアック』1巻172・174ページ(吉住渉/集英社 りぼんマスコットコミックス)
  • 仁菜(あ 料理部の 人たちが
  • あげたクッキー
  • コンビニ袋に入れてる?)
  • 架地(キュッ)
  • ↑袋を締める音
  • (ガサッ!)
  • ↑袋を捨てる音
  • ——ここ12コマ省略します——
  • 架地「見た?」
  • 仁菜(こく)
  • ↑うなずいている
  • 「な なんで
  • 捨てちゃったの?」
  • 架地「顔も名前も
  • 知らねー奴の
  • 作ったもんなんか
  • 食えるか
  • キモい
-『ウルトラマニアック』1巻172・174ページ(吉住渉/集英社 りぼんマスコットコミックス)
  • 定義重要度2
  • 短縮語は、その名前のとおり、ことばを短くするレトリックです。つまり、単語の中にある一部分だけを使って、その事柄を表現するというものです。

  • 効果

  • 効果1長い単語をいつも言っていると疲れるので、短くする

  • もともとは、長い単語でした。けれども、何回も言っていると疲れる。なので短くして、その単語をカンタンに発音できるようにする。これが「短縮語」です。
  • キーワード:短く、短縮、縮む、縮める、縮まる、つづまる、つづめる
  • 使い方
  • 使い方1外来語を借り入れるときに、日本語に合うように短縮する

  • あるコトバを外来語を借り入れるときに、そのコトバが日本語に合うように短縮されます。これは、日本語と外国語との、音節の数えかたの違いなどによって生まれるものです。たとえば「スマートフォン」は、「スマホ」になります。「テレビ」とか「アニメ」のように、もはや「短縮する前」の「デレビジョン」「アニメーション」という言いかたが、ほとんどされていないこともあります。
  • キーワード:外来語
  • 使い方2短縮して若者言葉をつくる

  • 「気色悪い」が「キショい」になったり、「難しい」が「ムズい」になったりするのが、これにあたります。
  • 例文を見る)
  • 引用は、『ランダムウォーク』1巻から。

    舞台は、とある中学校。主人公は「立石亜由」という女の子。そして彼女と仲のいい関係になっているのが、「架地哲士」という男の子。

    とある日、転校してきた「佐倉仁菜」という女の子と知り合いになる。彼女は実は、魔法王国から留学してきた魔女っ子。
    その「仁菜」が、放課後の教室で「架地」が一人で何かをしているのを見かける。

    よくその行動をよく観察していると…。なんと、料理部の人たちが作ったクッキーを捨てている!
    それが引用のシーンです。
    な なんで
    捨てちゃったの?
    という「仁菜」の質問に対して、
    顔も名前も
    知らねー奴の
    作ったもんなんか
    食えるか
    キモい
    と答える。その「キモい」というのが、「短縮語」にあたる言葉です。

    この言葉を細かく分けると、「 語中音消失」になります。「キモチわるい」の「ちわる」の部分が省略されて、「きもい」になっているからです。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「短縮語」として働くレトリック

  • 深く知るa「短縮語」と「新造語法」との関連
  • 「短縮語」を作る方法としては、つぎのようなものがあげられます。
    • 語頭音消失:ことばの最初の部分を省略するもの
    • 語中音消失:ことばの中間の部分を省略するもの
    • 語尾音消失:ことばの最後の部分を省略するもの
    • 頭文字語:それぞれの単語の頭文字だけをとってきて、ならべるレトリック
    またこういったレトリックは、新しい言葉を作るときによく使われるものです。そのことから、「 新造語法」とも強くかかわります。くわしくは「 新造語法」を、ご参照ください。

  • 深く知るb「短縮語」と「符丁」などとの関連
  • 商売の「符丁」を、「短縮語」を使ってつくることもあります。このばあい「符丁」は、知られてもかまわないもの(=「専門語・通語」)と、知られてはマズいもの(=「 隠語)とがあります。

  • 深く知る2もともと短い単語は、「短縮語」にできない——「長い単語」
  • もともと音の長さが短い単語は、「短縮語」にはなりません。短い単語を、さらに短縮するのは無理があるからです。

    たとえば「鉛筆」を短縮するのは、不可能といっていいでしょう。ですが、「シャープペンシル」は、かんたんに「シャーペン」が短縮することができます。ですので省略できるかどうかは、音の長さで決まります。

  • 深く知る3短くするには、その単語がよく使われる必要がある——「頻繁」
  • めったに使わない単語は、「短縮語」にはなりません。というよりはむしろ、めったに使わない単語を「短縮語」と使うのは危険です。

    「短縮語」を使うと、音の短い単語が、いくつも作られることになります。すると、「聞き違い」などでコトバが通じないことや、まちがったことを伝えてしまう。それは、時と場所によっては危険を生みかねません。

  • 深く知る4「短縮語」では、最初の文字を残すのが基本
  • 「短縮語」を使って作られるばあい、単語のどの部分を削ることになるか。それはふつう、単語の先頭部分をのこし、その後ろを削ることになります。つまり、「 語尾音消失」がほとんどです。

    これは単語の先頭部分が、いちばん重要だからです。つまり、その単語をあらわす情報を、いちばん多く持っているからです。

    これは〈逆さまなしりとり〉をすると、すぐに分かります。

    ふつうのしりとりは、前の人が言った単語のうち、いちばん最後をとって次のことばの最初を考えます。

    これに対して〈逆さまなしりとり〉は、前の人が言った単語のうち、いちばん最初をとって次のことばの最後を考えます

    たぶん、うまくゲームにするのは難しいと思います。これは決して、〈逆さまなしりとり〉なんて遊びになれていない、というわけではありません。

    もともと人間は、単語のいちばん最後については、あまり目を向けていません。それにしたがい、「短縮語」でも最後のほうから削られていくのです。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 短縮語・短縮
  • 呼び方2
  • 省略・略語
  • 参考資料
  • ●『新語はこうして作られる〈もっと知りたい!日本語〉』(窪薗晴夫/岩波書店)
  • 「短縮語」に、多くのスペースが割かれています。本のタイトルにもなっている「新語」と作るときには、多くのばあい「短縮語」が使われます。