同音反復・畳音法:くり返して何度も同じ音を登場させる
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同音反復・畳音法 どうおんちょうふく・じょうおんほう parechesis

『ケロロ軍曹』1巻82ページ(吉崎観音/角川書店 角川コミックス・エース)
  • ケロロ「ゲロゲロゲロゲロ
  • ゲロゲロゲロゲロ
  • ゲロゲロゲロゲロ
  • タママ「タマタマタマタマ
  • タマタマタマタマ
  • タマタマタマタマ

-『ケロロ軍曹』1巻82ページ(吉崎観音/角川書店 角川コミックス・エース)
  • 定義重要度2
  • 同音反復・畳音法は、音をちりばめるレトリックです。つまり文の中に、くり返して何度も同じ音を登場させるものです。

  • 効果

  • 効果1「ことば遊び」に使われる

  • 同じ音をワザと連続させることで、「ことば遊び」に使われることが多くあります。
  • キーワード:ことば遊び、言語遊戯、知的遊戯

  • 効果2音調をととのえる

  • 同じ音がくり返されるので、メロディーのような音の流れが作られます。これによって、音調のある表現をすることができるようになります。
  • キーワード:音調、歯切れ、調子、口調、語調、語勢、音律、節、節回し、声調

  • 効果3連続する音の響きに、面白さがある

  • 音が連続することそれ自体が、面白さを誘うことがあります。ことばが連続することによって、楽しいと感じることができるのです。
  • キーワード:おもしろい、楽しい、愉快、快い、快感、軽快、上機嫌、笑い、笑う、喜び、喜ぶ、感動、感じ入る、感慨、感心
  • 使い方
  • 使い方1「同音反復」は、日本語では作りやすい

  • 同じ音(または似た音)をくり返すことで、「同音反復」となります。日本語には、この「畳音法」を作るパーツとなる同音異義語がたくさんあります。ですので「畳音法」は、日本語では作りやすいものだといえます。
  • 使い方2意味とは関係なく、おなじ音をちりばめる

  • 同じ音を持った単語などを、何回もくりかえされる。この時くり返される単語自体が持っている意味とは関係がない。これが「同音反復」です。「同音反復」は、同じ音を続けて何度もくり返すレトリックです。「すももも、ももも、もものうち」みたいなものが、この「同音反復」の代表例になります。
  • 例文を見る)
  • 引用は『ケロロ軍曹』1巻から。

    「ケロロ」と「タママ」は、地球を征服するためにやってきた(カエルのような格好をした)宇宙人。
    彼らは、キモチを合わせるときに、
    • ゲロゲロゲロゲロ
    • ゲロゲロゲロゲロ
    • ゲロゲロゲロゲロ
    • タマタマタマタマ
    • タマタマタマタマ
    • タマタマタマタマ
    と、「ゲロ」や「タマ」の音をならべて口に出すという習慣をもっているようです。

    で、その「ゲロゲロゲロ…」や「タマタマタマ…」というところが「畳音法」にあたります。
    「ゲロ」や「タマ」の音を、ふき出しに入りきらないほど並べています。
  • 例文を見るその2)
  • 『七人のナナ』2巻4ページ(今川泰宏・国広あづさ/秋田書店 少年チャンピオン・コミックス)
    • 主な人物紹介<
    • 鈴木ナナ

      オリジナル・ナナ
      平凡な中学3年生女子。
      料理が得意。
    • ナナさま

      頭脳明晰、冷静沈着なナナ
      人の中で唯1人頭がいい。
    • ナナぽん

      妖しく色っぽいナナ
      ナイスバディで、趣味は占い
    • ナナりん

      泣き虫ナナ。読書が大好きで、
      感受性が強く、涙もろい。
    • ナナっこ

      のんびりナナ
      ほのぼのした心優しい癒し系。
      魚のぬいぐるみ(ビリーちゃん)を
      いつも抱いている
    • ナナっち

      イジワルなナナ
      悪どい事も平気でやっちゃう
    • ナナっぺ

      ゴーカイなナナ
      スポーツ万能、
      怒ると怖い熱血少女。


    2番目の引用は『七人のナナ』2巻から。なお、このタイトルは「しちにんのナナ」と読みます。

    ナナの父さんが海外出張から帰ってきて、海外のお土産を買ってきてくれた。それは、水晶(クリスタル)だった。
    で、その水晶を満月に光と当てると——。

    なんと、ナナが7人に分裂してしまった。

    で、その7人の「ナナ」。いちおう同じすがたをしているけれど、性格は7人とも違う。そのことを2巻の最初のページで紹介してくれているのが、引用した場面。
    ナナ、ナナ、ナナ、(以下略)
    というかんじで、「ナ」という音が、いろんなところに出てくる。その数、28個。しかも、ナナさまの紹介のところにある「7人」というのを「ななにん」と読むことにすると、プラス2つとなって、合計30個になります。
  • 例文を見るその3)
  • 『七人のナナ』1巻裏表紙(今川泰宏・国広あづさ/秋田書店 少年チャンピオン・コミックス)
    ナナがq分裂!?
    不思議な水晶の力で
    全然性格の違うq人の鈴木qナナに!!
    q人になってパワーq倍!
    恋に受験に大騒ぎ!!
    q色受験コメディー♥


    TVアニメとは一味違う
    今川ワールドを堪能してね!


    う一カ所、同じ『七人のナナ』で、もっと「同音反復」と言えるものを付け足しておきます。それは、『七人のナナ』1巻の裏表紙に書いてある文章です。

    見ての通り、短い文章の中に「ナ」の音がいくつもあります。いちおう数えてみると、14個でした。こちらのほうが、上の例よりも「同音反復」に近いと思います。
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「畳音法」→「畳語法」→「畳句法」という順番で、大きくなる
  • この「畳音法」のタイプのレトリックは、「畳音法」→「 畳語」→「 畳句法」という順番で、くり返す言葉が大きくなっていきます。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 同音反復・同音反復法・畳音・畳音法
  • 呼び方3
  • 同音集中
  • 呼び方1
  • 重複法
  • 参考資料
  • ●『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
  • 「同音反復=畳音法」の例文がたくさんあるので、便利だと思います。
  • ●『万葉修辞の研究〈山口正著作集 第一巻〉』(山口正/教育出版センター)
  • 万葉集に記された和歌について書かれた本。万葉集のなかにある「同音反復」についても、ふれられています。