名詞止め:名詞を投げ出しただけになっているもの
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名詞提示
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名詞提示
名詞提示
めいしていじ
——
メンチ[
自由
解放
]
[
道!
]
[
虫!
]
[
強者!
]
エクセル「メーンチー」
ハイアット「メンチさーん」
メンチ[
恐怖
](ビク)
-『エクセル・サーガ』2巻101〜102ページ(六道神士/少年画報社 YKコミックス)
名詞提示
は、ただ名詞を投げ出しただけになっているレトリックです。つまり、中心となる部分だけを名詞で表現して、のこりの情報を切り落とすものです。
絶句したり、沈黙してしまう状態をあらわす
感極まって、何も言えなくなってしまう。または、話の途中で次のことばを言うのをためらった結果、沈黙してしまう。そんなところに、「名詞提示」の効果があります。
:絶句、黙り込む、押し黙る、沈黙、黙る
中核部の名詞だけを取り出す
中核部の名詞だけを取り出し、その他の部分を切り捨てる。その切り捨てられたあとの名詞の部分が、「名詞提示」となるわけです。
:中核、中心、核心、枢密、枢軸
例文は『エクセル・サーガ』2巻から。
主人公のエクセルにひろわれた、犬の「メンチ」。
ふつう犬がひろわれたっていうと、ペットとして飼うことをイメージすると思う。だけど、このエクセルの場合は違う。なんとエクセルは、犬のメンチを「非常用の食料」として、アパートの自分の部屋に住まわせていた。なぜならエクセルは、あまりにも貧乏なのです。
なお、「メンチ」がエクセルに捕らえられる場面は、「
緩叙法(一重否定)
」のページで引用しています。
で、そんな命の危険がある状況にあった犬の「メンチ」。彼に、エクセルの家から脱走するチャンスがめぐってくる。というのは、エクセルが、アパートにある自分の部屋のカギをかけ忘れていたから。
で、もちろん「メンチ」は脱走する。それが引用の場面です。
まず、
メンチ[
自由
解放
]
ということで、アパートの部屋を抜け出したことを、「名詞提示」で表現する。
そして、アパートの町中をウロウロするうちに、
[
道!
]
[
虫!
]
[
強者!
]
と、色々な状況を「名詞提示」で表しています。
さらに、エクセルたちが「メンチ」を探す声が聞こえてくると、
メンチ[
恐怖
](ビク)
と、これまた「名詞提示」で表現しています。
小説での「名詞提示」
小説の中でいえば、太宰治の『人間失格』にある、
人間、失格。
という言葉が、一番よく知られている「名詞提示」と言えます。
「名詞提示」と「体言止め(名詞止め)」との関係
似たようなレトリックとして、「体言止め(名詞止め)」というものがあります。「名詞提示」も「体言止め(名詞止め)」も、ともに名詞だけがポツンと置かれることによって効果をしめすというところは似ています。
しかし、この2つは異なります。「名詞提示」は、ただ名詞を置いて並べたもので、そのうしろに特に省略した言葉が見当たらないものです。その点で、「体言止め(名詞止め)」とは区別されます。
名詞提示
『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
「名詞提示」について、例文を交えて解説してあります。あわせて『センスをみがく文章上達事典』(中村明/東京堂出版)もご参照ください。
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