「性」は、名詞や代名詞を文法のタイプによって区別するものです。
たとえば、ドイツ語では「男性」と「女性」と「中性」の3つに分けられています。
ここでいう「性」は、かならずしも性別とは関係ありません。たしかに人間をあらわす名詞のばあいには、その人が男ならば「男性」名詞を使います。反対に女ならば、「女性」名詞を使います。子供のばあいには、「中性」名詞になります。ですが、そのようなものとは基本的には関係ありません。
もう少しくわしく、ドイツ語から文法の「性」について見てみると。
男の労働者は「Arbeiter」とよびます。日本語の「アルバイター」は、ちょっとニュアンスはちがいますが、このドイツ語を語源にしています。そして、この「Arbeiter」は「男性」名詞とされます。
ですが、女の労働者は「Arbeiterin」といいます。こちらのほうは、「女性」名詞とされます。
ドイツ語では、名詞はこのようなちがいを持っています。
それは、たしかにそのとおりなのですが。
上にも書いたように「男性」名詞だとか「女性」名詞だとかは、人間や動物の男女とはつながりがないのがふつうです。
そのことを説明するために。
ある意味で日本人に知られている「ドイツ語の名詞」を、いくつか見てみます。たとえば、- 「ゼーレ Seele (女性名詞)」[li]]とか、
- (←これは「心・精神・魂」の意味。英語のsoul にあたる)
- 「ゲヒルン Gehirn (中性名詞)」
- とか、
- (←これは「脳」の意味。英語のbrain にあたる)
まあ。たしかに、現実の「男」とか「女」とかいうことと結びついているわけではありません。ですがこんなふうに、とにかく名詞にはすべて「性」がつけられています。
もちろん、- 「バウムクーヘン Baumkuchen (男性名詞)」
にも。
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なお、さらにどうでもいいことを書くと。Gehirnというドイツ語は、「ゲヒルン」というかんじに、「ヒ」のぶぶんにアクセントをおくのが正しいのですが。
まあ。そういったどうでもいいことは、さておいて。
ここでのポイント。それは、ヨーロッパの言語のおおくは、「男性」とか「女性」とかいった、「性」という区別をもっている
ということです。
そして、この「性」のちがいによって文法のタイプもちがうのです。
こういった、名詞のもっている「性」というジャンルによって、単語が変化するときに、ちがったシステムが適用される。このときにおこる、「性」にしたがった単語の変化のことを、「曲用」といいます。
なお英語では、文法の「性」がほとんど消滅しています。ただし代名詞には、「he」「she」「it」という「性」による区別が残っています。
いずれにしても。
このように「性」とよばれるものによって単語が変化するのが、「曲用」の1つです。