反復法:くり返すレトリックをまとめたもの
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関連レトリック反復法

反復法 はんぷくほう repetition

  • 定義重要度5
  • 反復法は、その名前のとおり、くり返すレトリックです。つまり、「同じ」または「似た」の語句を2回以上反復することいいます。

  • 効果

  • 効果1くり返すことで、リズム感が出る

  • 同じフレーズやことばをくり返す。それは、人間にとって最も基礎的な部分に訴えかけるものです。そこから、リズム感が導きだされてきます。
  • キーワード:リズム、リズミカル、律動、節奏、高揚、発揚、奏でる、声調、節、節回し、諧調、音律、差しせまる、緩急、メロディー、調和、ハーモニー、音楽性、美的、美妙

  • 効果2同じことばをくり返すことで、強調をすることができる

  • 反復法では、同じことばがくり返されます。これによって、強調をすることができます。
  • キーワード:強調、強い、強まる、強める、強化、増強、大きい、増加、印象、焼き付ける、キャッチコピー

  • 効果3詩歌で使うことがよくある

  • 詩歌では、同じことばを何度もくり返すことがあります。リフレーンともいいます。これは、詩歌を作るときには、定番の方法だといえます。
  • キーワード:詩、詩歌、リフレーン、音、芸術、定番、常套、定石、ありふれる、ありがち

  • 効果4重要なことがらをくり返すことで、注意を喚起する

  • 注意を喚起すことによって、より理解を促すことができます。
  • キーワード:注意喚起、注意を呼び起こす、理解を促す

  • 効果5表現する側が感動していることなどを示す

  • 「反復法」を使って、何回もくり返し表現する。これによって、感動していることを受け手(聞き手・読み手)に伝えることができます。
  • キーワード:感動、感激、感慨、胸を打つ、意図、心づもり、感情の激する、感情の高まり、説得

  • 効果6普段の暮らしの中でも、何度も無意識に使われている

  • この「反復法」は、気がつかないうちに日ごろの生活で使われています。念を押したり、強く伝えたいとき。そんなときに、気軽に用いられています。
  • キーワード:無意識、自然会話、童謡、民謡、歌謡曲、擬声語、擬態語、オノマトペ

  • 効果7情報を、厚みをもって深く伝えることができる

  • 何度も同じことばをくり返す。このことによって情報を、より厚みをもって深く伝えることができます。
  • キーワード:厚み、厚さ、幅、深み、深い、奥深い、深長、深奥、奥行き
  • 使い方
  • 使い方1同じ(または似た)単語や句などを、くり返し使う

  • 句形や同音・語彙・句の反復など様々なバターンがあります。
  • 注意

  • 注意1度がすぎるとわずらわしく、いやみなものになるおそれがある

  • たしかに「反復法」を使うと、いろいろなメリットがあります。ですが意味もなく「反復法」を使いすぎると、相手に不愉快な思いをさせてしまうこともあるので、注意が必要です。
  • キーワード:わずらわしい、うるさい、不愉快、悪感情、いやみ、苦情、嫌気
  • レトリックを深く知る

  • 深く知る1「反復法」の3タイプ
  • この「反復法」というレトリック用語の使いかたは、レトリックの学者によって微妙な違いがあります。おおまかに言って、
    • 同じことばをくり返すこと——(いちばん狭い使い方)
    • 同じことば・句・構成・音をくり返すこと——(中間的な使い方)
    • 同じか、もしくは似た表現をくり返すこと——(いちばん広い使い方)
    の3つに分けることができると思います。

  • 深く知る2「反復法」というレトリック用語の、細かな位置づけ
  • 「反復法」という用語は、レトリックの中心的なものです。そのため「反復法」には、下位の分類として、さまざまな用語が考え出されています。つまり、やたらと細かく分けられて用語をつけられています。

    そんなわけで、「反復法」に分類されるレトリックを並べてみると、次のような長いリストになります。
    • 畳句法」:同じフレーズをくり返すレトリック
    • 畳語」:同じ言葉や表現を、すぐ後にくり返して畳みかけるレトリック
    • 隔語句反復」:同じ言葉や表現を、間隔を置いてくり返すレトリック
    • 復言」:同じことばを、別の句に連続して使うレトリック
    • 倒置法」:1つの文中で、意味論的には無駄なくり返しをするレトリック
    • 首尾同語」:1つの文のはじめと終わりが同じ言葉になるレトリック
    • 回帰反復」:しばらく間をおいて前の言葉をくり返すレトリック
    • 首句反復」:1つ目の文の最初にある言葉を、次の文のはじめでも使うレトリック
    • 結句反復」:1つ目の文の最後にある言葉を、次の文のおわりでも使うレトリック
    • 首句結句反復」:「 首句反復」と「 結句反復」が一緒にあらわれるレトリック
    • 前辞反復」:1つ目の文の最後にある言葉を、次の文のはじめでも使うレトリック
    • おうむ返し」:ある人が言ったことを、そのすぐ後に、別の人がくり返すレトリック
    • おうむ返し」:まったく同じ言葉を、ほとんど同じ意味でくり返すレトリック
    • 循環論法」:証明したいことの根拠を示すときに、その証明することを使うレトリック
    • 異義復言」:いくつもの意味を持つ言葉を、違った意味でくり返すレトリック
    • 類義累積(類義語累積法)」:似た言葉を並べることで印象を強くするレトリック
    • 「変形反復」:ほぼ同じ意味の言葉を、形を変えてくり返し使うレトリック
    • 疑惑法」:どの言葉も不十分だと思い、言い直しながら多様な表現を並べるレトリック
    • 類音反復・ジングル」:音が似ていて意味の大きく違った2つの言葉をくり返すレトリック
    • 倒置反復法」:同じ言葉を使って、語順が「AB−BA」となるように反復をするレトリック
    • 交差配語法」:似た言葉を使って、語順が「AB−B’A’」となるように反復するレトリック
    • 逆対句」:「 倒置反復法」と「 対照法・対句」を組み合わせたようなレトリック
    くわしくは、それぞれの項目を参照して下さい。

  • 深く知る3「反復法」というジャンルに含まれる、数々のレトリック用語
  • …本当は、もっと細かいレトリック用語があったりします。レトリック学者は、分類して名前をつけるのが大好きなのです。
    上にあるリストも、そのうちにもっと長くなっているかもしれません。

    なお。
    上にあげたリストに長々と書かれている、レトリック用語。長々と書かれているにもかかわらず、このリストは「語句」レベルの反復に限って書いてあります。つまり、「音」レベルでの反復については、上のリストには書いてありません。

    くり返されているのが「語句」でなく、「音」だけになっているもの。これについては、「 継起的音喩」のページに書いておきました。なので、「音」レベルの反復については「 継起的音喩」のページを参照してください。
  • レトリックの呼び方
  • 呼び方5
  • 反復・反復法
  • 呼び方2
  • くり返し・くり返し法・リフレイン
  • 参考資料
  • ●『くりかえしの文法—日・英比較対照—』(牧野成一/大修館書店)
  • 本の内容は、『くりかえしの文法』という本のタイトルどおりです。「くりかえし」つまり「反復」について非常にくわしく書かれています。
  • ●『日本語解釈活用事典』(渡辺富美雄・村石昭三・加部佐助[共編著]/ぎょうせい)
  • 「反復法」について、要点をあさえています。また例文が日本文学のものなので、読みやすいと思います。レトリックの本には、例文になっているのが多いから。