ダブル・ミーニング:1つのことばで同時に2つ以上を示す
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関連レトリック
ダブル・ミーニング
ダブル・ミーニング
だぶる・みーにんぐ
double meaning
ナギ「助けてもらってばかりでは 悪いから…
私からも お礼がしたいな」
ハヤテ「お礼?」
ナギ「うむ、なんでもいいぞ。言ってみろ」
ハヤテ「なんでも?」
(くくく… なら話は早い
助けたお礼に、身の代金を要求する
ための人質になってもらおう。)
「じゃ…
単刀直入に言うよ…
」
ナギ「うん うん」
ハヤテ「
僕と…付き合ってくれないか?
」
「
僕は…君が欲しいんだ。
」
(人質として)
ハヤテ「
わかってるさ!!
だがこっちだって本気だ!!
」
ハヤテ「わかってるさ!!
だがこっちだって本気だ!!」
ハヤテ「
こんなこと、冗談じゃ言わない…
」
ハヤテ「
命がけさ……
一目見た 瞬間から……
君を…君をさらうと
決めていた。
」
ナギ「…………」
-『ハヤテのごとく!』1巻27~29ページ(畑健二郎/小学館 少年サンデーコミックス)
ダブル・ミーニング
は、「1つのことば」を使って、同時に「2つ以上」のことをあらわすものをいいます。この「ダブルミーニング」のポイントは、2つあります。1つは、「あくまで語句は1回しか登場しない」こと。もう1つは、「2つの違った意味が読みとれること」です。
なお、私(サイト作成者)の知っている限りでは。「ダブルミーニング」というのを、レトリック用語としてあげている参考書は見たことがありません。ですので、この「ダブルミーニング」ということば。これは、厳密な意味での「レトリック用語」とは言えないかと思います。
ですが。ほかのレトリック用語をまとめたカテゴリをあらわす単語として。あえて、このサイトでは使っていくことにします。
1つの語句を使って2つの意味をあらわすので、意外性を生みだす
ふつう「1つのことば」を使ったばあい、1つの意味しかあらわしません。ですが時として、「2つ以上のモノゴトをあらわす」ことがあります。そしてこのときには、大きな意外性を感じることになります。
:意外、思いがけない、思いもよらない、思いの外、予想外、予期しない、不意、意表をつく、おどろく、はっとする、息をのむ
おどろきと同時に、感心もする
感じることとなった意外性と、同時に。そのような表現が使われているということにたいして、あっと言わせるような感心の気持ちをもたせることになります。
:びっくりする、驚嘆する、あっと言う、舌を巻く、発見の喜び
あくまで語句は、1回しか登場させない
すぐ下に書くように。「ダブルミーニング」というのは、「2つ以上のモノゴトを、同時にあらわす」というものです。ふつう2つのことを表現したいのなら、2つの語句を使う。それが、スタンダードな方法です。けれどもあえて、同じ語句を2回は出してこないでおく。それが、「ダブルミーニング」にふくまれるレトリックのポイントです。
:1つの表現、1回の表記、1度の表記、ひとこと
1つの語句で、2つ以上のことを表現する
もしも、「1つの語句」を「1回だけ」登場させたのならば。それは、1つのモノゴトしか伝えないはずです。ですが、この「ダブルミーニング」。ここではたしかに、ことばとして実際にあらわれたのは「1つの語句」です。しかし、それにもかかわらず「2つ以上のモノゴトを、同時にあらわす」ということが実現できている。それが、「ダブルミーニング」です。
:2つの意味、2つの意義、2つの内容、2役を演じる、別の意味、一語両義
そのために「同音異義」のことばを利用する
このような、「1つの語句」で「2つ以上のモノゴトを、同時にあらわす」ためには。「同音異義」のことばを利用することになります。つまり、同じ語句ではあるけれども、2つ以上の意味をあらわすチカラを持っていることばを使うことになります。
:意味のことなることばを結びつける、兼ねる、兼用、同音異義語の利用
カンの鈍いヒトが、たまにいる
残念ながら、たまにカンの鈍いヒトがいます。「1つの語句」が書いてある。その文面を見たとき、てっきり「1つのモノゴトをあらわしている」と思いこむというタイプの方が。つまり、「ダブルミーニング」であるということを読みとってもらえないことがあるのです。ですので、「ダブルミーニングを使っているんだよ」という合図というか信号を送るため、ことばを何か書きくわえておくと安心です。
このページの、いちばんはじめの画像。これは、『ハヤテのごとく!』1巻からのものです。アニメ第2期の放送を記念して、引用して書かせていただきます。
とても長々とした引用になってしまって、申しわけありません。でも、このレトリックの説明する上では、避けることができないのです。それなので、ご容赦ください。
で、その「引用したところ」というのは1巻の第1話。つまり、ストーリーの冒頭。
この作品を通じて流れることになってしまった、「とある誤解」。そのカンちがいが生まれてしまった、そのシーンを引用しています。
のあいだで、思っていることに大きな違いがある。そのようなことを理解していただくため、このシーンに至るまでの経緯を書きます。すでに知っているヒトからすれば、「くどい」と感じるかもしれません。ですが少し、おつきあい下さい。
まず主人公は「ハヤテ」、16歳。これから彼は、人質をとった誘拐をしようとしている。で、そのターゲットになっているのが「ナギ」、13歳。
その「ハヤテ」が、誘拐なんぞを企てることにした理由。それは「手持ちが12円しかない」から。しかも、1億5,000万円の借金取りたてに遭っているから。その金を用立てるために、誘拐を考えているわけです。
そして。
その目標となっている、「ナギ」。こちらは、三千院家という超名門で大金持ちのお嬢さま。東京の練馬区(?)あたりに大きな豪邸もある。
(敷地面積は「杉並区の半分」くらい)
おりしもイブの日、しつこいナンパに「ナギ」は困っている。そこで、「ハヤテ」が「ナギ」の前にあらわれます。
このシーンは、24ページから29ページにかけて描かれています。合計すると5ページになるわけで、さすがにこれを「そのまんま」引用するのは、気が引けます。なので、ちょっとした表にしてみました。下のが、その表です。
(「ナギ」がナンパに誘われている場面)
ハヤテ「人の獲物に手を出すなぁ!!」
(自分が誘拐の獲物とする「ナギ」に近寄るナンパを追い払う)
(ナギは、ナンパを追い払ってくれたハヤテを信頼して)
ナギ「あ…ありがとう 何か知らんが…助かったよ」
ナギ「へくちっ!!」
(寒そうにして、くしゃみする)
(これに対してハヤテ)
ハヤテ「……」
(無言で、ナギに自分のコートを着せる)
(ナギは、さらにハヤテを信頼して)
ナギ「温かい 気に入った」
(ただ正直に感謝を伝える)
ハヤテ(……)
(ハヤテは、意味ありげに無言でいる)
ナギ「助けてもらってばかりで悪いから…
私からも お礼がしたいな」
(と、強い信頼をもって申し出る)
(ハヤテはこれを、誘拐をする格好の口実と考え)
ハヤテ「お礼?」
(半疑問で返事を促す)
ナギ「うむ、なんでもいいぞ。言ってみろ」
(信頼に満ちた無邪気な問いかけをする)
ハヤテ「じゃ… 単刀直入に言うよ…」
(決意に満ちたハヤテ)
ナギ:「うん うん」
(ただ純粋に返事を待つナギ)
ハヤテ「僕と…付き合ってくれないか?
僕は… 君が欲しいんだ。」
(ハヤテは、誘拐することをナギに伝える)
(ナギは、これを恋人同士にる意味だと理解する)
(ナギは、これを恋人同士にる意味だと理解する)
つまり、【その微妙な言いまわしが、
後に二人の関係を…
決定的にややこしくしたという…】
(ナギは、恋人になろうと告白されたと考えでいるので)
ナギ「ば…!! イブの夜だからって[[lt]]
いきなりそんな告白…
自分が何を言っているのか
わかっているのか?」
(ナギは、いきなりの言葉に当惑を隠せない)
(ハヤテは、誘拐することを告げたと考えているので)
ハヤテ「わかってるさ!! だが
こっちだって本気だ!!」
(と、誘拐の気持ちに揺るぎがない旨を伝える)
(告白の意思が強いと受けとったナギ)
ナギ「で…でも!
【吐息のかかる距離】
(その顔の近さから、さらに戸惑いを強くするナギ)
ハヤテ「こんなこと、冗談じゃ言わない…
命がけさ……一目見た 瞬間から……
君を…君をさらうと決めていた。」
(あくまでハヤテは、あくまで誘拐する前提で進む)
【犯罪者の目】
ナギ:(……) ドキドキ
(ナギは、告白という状況に舞い上がる)
【本気の想いは伝わる】
(ナギが言う「本気」とは、告白の本気)
(ハヤテが言う「本気」とは、誘拐の本気)
ナギ:「わ… わかったよ……」
【が!! それが
正しく伝わっているか
どうかは別問題だ!!】
(もちろん 本当はわかっていない)
ナギ:「そ… その代わり!!
浮気とかは絶対ダメだからな!!」
(もちろん、恋の告白が前提での話)
ハヤテ:「え?あ…うん…
わかってるよ。」
(誘拐が前提のハヤテには、よく意味が分からない[[lr
しかし、適当にあいずちを打っておく)
1回読んだだけでは、分かりにくいかと思います。コミックでは、もっとアタマに入りやすくシーンが流れていっているんだけど。これは、書いている私(サイト作成者)のチカラが足りないためのモノです。すみません。何回か、読んでみて下さい。
客観的と思われる、その場の状況。これが、表の「真ん中」に書いてあります。これよりも「左」側に書いてあるのが、「ハヤテ」の思惑についてです。つまり「誘拐」をしようとしているヒトが、このセリフの流れをどのように飲みこんだのかということです。
これにたいして。
中央より「右」側に書いてあるのが、「ナギ」の受け止めかたです。ナンパを助けられ、やさしく(?)コートを着せてくれる。ついには告白(?)をしてくる。そんな脈絡をどのように聞いて理解したのかということが、書いてあります。
そして。
こういった、「2人のあいだにある理解の差」。この「ズレ」こそが、「ダブルミーニング」と呼ぶことのできるような状況です。
全体のあらまし
「カテゴリをまとめたページを作りたい」というサイトでの事情から、便宜上「ダブルミーニング」というページを作りました。これは、このサイト独自で立てた取りあえずのカテゴリだということを、はじめに書いておきます。
さて。特別のこれから先に書いていくことをまとめると、つぎのようになります
1つの「文」が、2つの意味に読みとれるタイプ
1つの「単語」が、2つの意味に読みとれるタイプ
1つの語が、本来の意味と比喩的な意味とを兼ねているパターン
一方にしか結びつかないような語が、2つ以上のことばに結びついている
「具体的なことば」と「抽象的なことば」とを、1つの語で結びつけているタイプ
1つの「音」が、2つの意味に読みとれるタイプ
「
重義法
とか「
掛詞
」と呼ばれるタイプ
「掛詞」、「縁語」、「秀句(法)」と呼ばれるタイプ
「しゃれ」とかいった、「ことば遊び」と呼ばれるパターン
「折句」、「沓冠」と呼ばれるパターン
「アクロスティック」、「ダブル・アクロスティック」と呼ばれるパターン
「語路合わせ」「語路法」呼ばれるパターン
「数装法」「数え歌」と呼ばれるパターン
その他のパターン
このサイトでは。「ダブルミーニング」と呼んでいるモノを、さらに3つに分けて解説してみます。
まあ。上から順に「大→中→小」といってもいいでしょう。つぎから、くわしく書いていきます
1つの「文」が、2つの意味に読みとれるタイプ
1つの「文」が、2つの意味に読みとれるタイプ(=広義の「異義兼用」「兼用法」)
この例としては。引用した『ハヤテのごとく!』が、ピッタリ当てはまります。
たとえば。
ハヤテ「
僕と…付き合ってくれないか。
」
「
君が欲しいんだ。
」
(話し手:ハヤテ)
お前は、人質だ。
身代金が支払われるまで、おとなしく付いてきてもらうぞ。
(聞き手:ナギ)
僕と、恋人どうしになってくれないか。
君のことは、僕の手のもとにどうしても置いておきたいんだ。
と。
まあ「誤解」をいうのは、どうしようもないもので。なんで、こんな言いまわしをしたのか。そのことばを、なんでこのように理解したのか。それは、大いなるナゾです。『ハヤテのごとく!』に七不思議があるとしたら。絶対に、1つとして加えられることになるでしょう。
あとの七不思議は。「タマ」が日本語をしゃべることとか、てきとうに考えてください。
とにかく、レトリックとしては。
このハヤテが言ったセリフ。つまり、
「僕と…付き合ってくれないか。」
「君が欲しいんだ。」
という文。このなかに、まずハヤテの側が思っていた(本来の)意味のほうが1通り。そして、それを聞いたナギのほうが受けとった(まあ誤解した)意味というのが、もう1通り。なので、つごう2通りの読み取りかたがある。
言いかえると。たしかに言いまわしとしては、1パターンしかない。だけれどもハヤテ(話し手)の考えと、ナギ(聞き手)の聞きかたとで。2パターンあることになる。それはつまり、けっきょく「2つ以上のモノゴトを、同時にあらわす」ことになっている。
だから、「ダブルミーニング」だというわけです。
1つの「単語」が、2つの意味に読みとれるタイプ
1つの「単語」が、2つの意味に読みとれるタイプ(=「くびき語法」、狭義の「異義兼用」「兼用法」)
これは。
たしかに、書いたある単語は「1つだけ」しかない。けれども近くに書いてある、ほかのことばとの関係で考えると。その「1つだけ」しかない単語が、「2通りのことをあらわす」ことができてしまう。そういったものです。
くわしい説明については、「
くびき語法
」のページに書いてあります。ここでは、ざっとカンタンに眺めてみることにします。
1つの語が、本来の意味と比喩的な意味とを兼ねているパターン
1つの語が、本来の意味と比喩的な意味とを兼ねているパターン(=「異義兼用・兼用法・双叙法・一筆双叙法」)
そちらにあげてある文は、
「きみの心と唇を/出来るものなら奪ってみたい」
というものです(『スレイヤーズ(新装版)』30ページ)
上にあげた2つと同じように、これも結びつきを分解してみると。
(出来るものなら) 「きみの心を奪ってみたい」+「きみの唇を奪ってみたい」
となります。
この言いまわしで、どこが問題になるのかというと。「心を奪う」といったときの「奪う」と、「唇を奪う」のほうの「奪う」。この2つの「奪う」の意味が、大きくかけ離れているというところです。そして、さらに書くと。しかも「大きくかけ離れているのにもかかわらず、日本語としておかしくはない」というところ。ここが、最大のポイントです。
このようになるの原因。それは、「唇を奪う」というフレーズが、かなり決まった場合にしか使われないようなものだというところにあります。
(⇒くわしくは「
兼用法
」も、あわせてご覧ください。)
一方にしか結びつかないような語が、2つ以上のことばに結びついている
一方にしか結びつかないような語が、2つ以上のことばに結びついている(=「破格くびき・兼用法」)
「[
破格くびき
」のページはこんな例があがっています。
「へんに技巧に走った文章より
普段書かない人が一生懸命書いた
真実の言葉の方が」
「胸にもおなかにも染みるものよ」
『“文学少女”と死にたがりの道化(ピエロ)』からです。
「胸に染みる」というのは、よくある表現です。けれども、「おなかに染みる」という言いまわしはかなりイレギュラーです。
このようなものは。「くびき語法」のなかでも、とくに「破格くびき」と呼ぶことがあります。
(⇒くわしくは「
破格くびき
」をご覧ください。)
「具体的なことば」と「抽象的なことば」とを、1つの語で結びつけているタイプ
「具体的なことば」と「抽象的なことば」とを、1つの語で結びつけているタイプ(=「異質連立・両義法」)
マンガでは、いまのところ例が見あたりません。なので小説の、菅原克己『マキシム』から。
「ぼくは持っていた。汚れたレインコートと、夢を」
これも因数分解のように割りふってみると。
(ぼくは汚れた)「レインコートを持っていた。夢を持っていた。」
「異質連立」というのは。かたや「レインコート」のような「具体的なモノ」。はんたいに「夢」といった「抽象的なモノ」。こういった2つを結びつけているばあい。この「くびき語法」を、とくに「異質連立」と呼ぶことがあります。
(⇒くわしくは「異質連立」も、あわせてご覧ください。と書きたいけれど未作成です。)
1つの「音」が、2つの意味に読みとれるタイプ
このパターンには、いろいろなものがあります。音が同じであることを利用して、そこから「2つ以上のイメージを浮き上がらせる」というもの。それが、このカテゴリに当てはまります。
わりとよく知られていることとして。日本語には、「同音異義語」が数おおくあります。つまり、同じ音をもつ単語が山のようにあるというわけです。そのため、「1つの音」でもって「2つ以上のモノゴトをあらわす」ということがカンタンにできます。
したがいまして、日本語では。このパターンに属するレトリックが、いくつも出てきます。あまりにたくさんあるので、ほんの概略だけにしておきます。なお、ここに含まれるレトリック用語は「
同時的音喩
」とよばれるグループと、ほとんど同じモノです。
(⇒くわしくは「
同時的音喩
」も、あわせてご覧ください。)
「重義法」とか「掛けことば」と呼ばれるタイプ
くわしいことについては、「
重義法
」を参照ください。なお、このレトリックについては「掛けことば」という呼びかたをすることもあります。ただし、和歌とかで出てくる「掛詞(懸詞)」とは、とりあえず違うものです。
リンク先のページの例を書いておくと。
『School Rumble』(スクールランブル)
という音の響きから。
「scramble」(スクランブル)
といった別のことばが、イメージとして思い浮かぶことになる。これが「
重義法
」です。
(⇒くわしくは「
重義法
」」も、あわせてご覧ください。)
「掛詞」、「縁語」、「秀句(法)」と呼ばれるタイプ
これは。和歌でよく見かけるヤツです。「
掛詞
」を、ご覧ください。
山里は
冬はさびしさ まさりける
人目も草も
かれ
ぬと思へば
という文章が、リンク先に書いてあるはずです。
なお「秀句(法)」というのは。「
掛詞
」や「縁語」のことをいいます。とくに、「
掛詞
」」や「縁語」を巧みに使った作品をさすこともあります。
(⇒くわしくは「
掛詞
」」「縁語」「秀句」も、あわせてご覧ください。)
「しゃれ」とかいった、「ことば遊び」と呼ばれるパターン
「1つのことばの中から、2つの意味が読みとれる」もの。そして、そこにおもしろさがあるもの。「
しゃれ
」というのは、そういったものをいいます。より細かいことについては、「
しゃれ
」のページをご覧ください。
ですが。この「
しゃれ
」のようなものを指ししめすレトリック用語は、いくつかあります。そして、それぞれが微妙に違っています。カンタンにふれておくと、
「地口」
:江戸時代に、「秀句」が発展したもの
「口合」
:江戸時代に、「秀句」が発展したもの
「しゃれ」
:現代のことば遊び。「ダジャレ」に比べると、どちらかというと「キャッチコピーになるような、マジメな部分もある」
「『駄』が付いていないので、できばえがよい」--といったニュアンスがある
⇒「
しゃれ
」
「ダジャレ」
:これも現代のことば遊び。「しゃれ」との差を考えてみると、
「マジメなモノは、ふつうダジャレとは呼ばない」
「『駄』が付いているので、できの悪いダメなしゃれ」
--といったニュアンスがある
といった区分けが、されることもあります。ですが、これは参考する本によってかなり違いが出ています。
ですので。参考される本が、どのレトリックを指してそのレトリック用語を使っているのかについては。ちょっと注意しておく必要があります。
(⇒くわしくは「
しゃれ
」「秀句」「地口」「口合」「ダジャレ」も、あわせてご覧ください。)
「折句」、「沓冠」と呼ばれるパターン
「折句」とか「沓冠」とかいったもの。これは、和歌を作るときのテクニックです。
「かきつばた」の和歌を思い出すヒト。あなたは、学校で古典の授業をマジメに受けていました。
まあどっちにしろ。コミックスで「折句」とか「沓冠」とかは出てきそうにありません。なので、説明は省略します。
(⇒くわしくは「折句」「沓冠」も、あわせてご覧ください。)
「アクロスティック」、「ダブル・アクロスティック」と呼ばれるパターン
「
アクロスティック
」というのは。まあ、「あいうえお作文」のようなものです。決まった「ひらがな1文字」から始まる、気の利いたセリフを考え出すといったぐあいになります。これは、和歌でいう「折句」にあたります。
くわしくは「
アクロスティック
」をご覧ください。
避難訓練で使うはずの、「お・か・し」の3文字。これが、不思議な標語になっていきます。(『せんせいのお時間』3巻122ページ)
また。和歌のほうで、それぞれの節の「最初」だけではなく「最後」にまでも、ことばをよみこんであるもの。つまり「沓冠」と呼ばれるもの。こちらは、「ダブル・アクロスティック」というのが、ほぼ当てはまります。
なお。
「
アルファベットアクロスティック
」という、変わりダネもあります。これは、節の最初に折りこんであることばが「あ・い・う・え・お…」といったものになっています。もちろんアメリカやイギリスなら、「A・B・C…」というスペルが最初に来るように、折り込まれることになります。
(⇒くわしくは[[L0006」「
アルファベットアクロスティック
」「
メソスティック
」のページを、見てみて下さい。
「語路合わせ」「語路法」呼ばれるパターン
これも。くわしくは「
語路合わせ
」のページを、見てみて下さい。
カンタンに書いておくと。たとえば、「1192作ろう鎌倉幕府」だとしたら。
アタマの中に、
「なにかイイ国ができた」→鎌倉幕府
「1192に作られた」→できたのは1192年
というように。表面の、たんなる日本語の意味として1つのパターン。そのウラに隠れている、語路合わせが意味しているモノが、もう1パターン。なので、これもやっぱり「1つの音」でもって「2つ以上のモノゴトをあらわす」ということができています。
(⇒くわしくは「
語路合わせ
」も、あわせてご覧ください。)
「数装法」「数え歌」と呼ばれるパターン
これは。数字を順番にかぞえ読みこみながら、そのうしろに関係のあることを続ける。そういったものですが、この説明ではよくわからないと思いますので「
数装法
」のページをご覧ください。
この「ダブルミーニング」との関わりでいえば。「1・2・3…」と続く数字が読みとれることで、「1つの意味」をつかむことができる。そして、それぞれ数字のうしろに続いている文やことばとのあいだで、「もう1つの意味」を理解することができる。
そんなわけで。
出てきた数字が「2つ以上のモノゴトを、同時にあらわす」ということが、できています。なので「ダブルミーニング」といえます。
(⇒くわしくは「
数装法
」「数え歌」も、あわせてご覧ください。)
その他のパターン
この「ダブルミーニング」のページでは。あくまで「2つの意味が、ハッキリと違ったものとして受けとることができるばあい」に限って、分類をしてみました。
ですが、この範囲を超えて。
「1つのことば」から、片方は「メインとなる明らかな意味」が受けとれる。でも、もう一方は「きっちりとした意味を示しているものではない」という。そういった、不完全だけれども「二重の意味」を持っているというもの
そういったものは。さらに、たくさんあります。
あまりに数が多いので。レトリック用語の名前をあげておくだけに、とどめておきます。
交叙法
:「
交叙法
」のページ
縁装法
:(作成中なので、まだありません)
押韻
:「
押韻
」のページ
頭韻
:「
頭韻
」のページ
脚韻
:「
脚韻
」のページ
半音諧
:(作成中なので、まだありません)
地口
:「
地口
」のページ
打ち返し
:「
打ち返し
」のページ
字喩
:「
字喩
」のページ
なぞかけ
:「
なぞかけ
」のページ
アナグラム
:「
アナグラム
」のページ
回文
:「
回文
」のページ
ズラズラっと。難しそうな用語ばかりを、ならべてしまって申しわけないのですが。用語のくわしい中身については、それぞれのリンク先を参照して下さい。
ダブルミーニング・両義語・両義語句
広い意味での「兼用法」「異義兼用」
material
『レトリック事典』(佐藤信夫[企画・構成]、佐々木健一[監修]、佐藤信夫・佐々木健一・松尾大[執筆]/大修館書店)
この「ダブルミーニング」という区分けをつくるにあたって。土台となっているのは、この本です。『レトリック事典』のなかで、[1-12 異義兼用]というのが、おおよそこの「ダブルミーニング」に当たるものです。ですが、こことの関連で[1-2-2-2 くびき]についても十分に参考にしています。
『日本語の文体・レトリック辞典』(中村明/東京堂出版)
こちらの本では、「重義法」をいうレトリック用語で呼ばれているものに当たります。「一つの表現から複数の意味がくみとれる」という定義は、この本が書いているものと、ほとんど同じものです。
「ハヤテ」の、めぐまれない人生
なぜ「ハヤテ」が、そんなに追いつめられてしまったのか。それは上にも書いたように「両親の放蕩、お金の浪費」に原因がある。
その「浪費」によって歩むことになってしまった、その苦労の人生。それを、思いつくままに書いておくと。
9歳の頃から、両親の浪費したお金を返すために酒屋でバイトをする(労働基準法違反。)
16歳であることに、自転車便のバイトがクビになる(労働基準法違反。)
その日までの給料16万円が、両親に渡される(労働基準法違反。)
両親はその金を、パチンコなどで使い果たされる(窃盗罪。)
あげく両親は、ヤバイ暴力団さんたちから返すあてのない1億5,000万を借りたうえ、この借金を勝手に押しつけられる(詐欺罪。貸金業規制法違反は、どうかな?)
とうぜんのごとく、ヤバイ暴力団さんたちが取りたてに来る(脅迫罪。あと無断で家に入っているので、建造物等侵入罪。ほかにも、民事執行法違反など多数。)
といったぐあい(カッコ内は、ハヤテが被害者となった法律違反)。このような追いつめられた状況から、「ナギ」を誘拐して金を脅し取ろうと計画するというわけです。
この文章。
書いたんだけど、あまりに長いんで。ココのスペースに追いやられてきました。ようするに、「ボツ」の文章なんです。これ。
関連するページ
くびき語法
:1つの「単語」が、2つの意味に読みとれるタイプ
兼用法
:1つの語が、本来の意味と比喩的な意味とを兼ねているパターン
破格くびき
:一方にしか結びつかないような語が、2つ以上のことばに結びついている
同時的音喩
:1つの「音」が、2つの意味に読みとれるタイプ
そのた
●破格くびき型
:
早口ことば
●重義法型
:
重義法
●掛詞型
:
掛詞
-
縁語
-
秀句
●ことば遊び型
:
しゃれ
-
地口
-
口合
-
ダジャレ
●折句型
:
折句
-
沓冠
●アクロスティック型
:
アクロスティック
-
アルファベットアクロスティック
-
メソスティック
●語路合わせ型
:
語路合わせ
●数装法型
:
数装法
-
数え歌
●その他
:
交叙法
-
縁装法
-
押韻
-
頭韻
-
脚韻
-
半音諧
-
地口
-
打ち返し
-
添義法
-
なぞかけ
-
アナグラム
-
回文
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